「日本は国際情勢に対し当事者意識持つことが大事」 国際政治学者グレンコ・アンドリー氏
Japan In-depth / 2022年5月7日 13時0分
写真)5月9日の対独戦勝記念日の軍事パレードを前に行われたリハーサル ロシア・モスクワ 2022年5月4日
出典)Photo by Oleg Nikishin/Getty Images
■ 西側の制裁・軍事支援について
藤澤:続いて世界各国の支援について。西側諸国の対ロシアの経済制裁やNATO諸国並びにアメリカの軍事支援についてどう評価するか。
グレンコ氏:全体的には非常に重要な所だ。仮にロシアとウクライナが一対一で戦ったらウクライナの方が圧倒的に弱いので負けるはず。ウクライナ軍が現在、互角に戦っているのはまず西側諸国から兵器提供が行われているからだ。もう一つは西側諸国によるインテリジェンス情報、つまりロシアの動きや意図、計画などの情報、の提供によって(ウクライナがロシアに)対応できているからだ。ウクライナ単独であればここまで出来なかったので全体的に西側諸国のお陰で互角の戦いが続いている。
しかし完璧かというとそういう訳でもなくもちろん問題もある。一つは戦車や榴弾砲といった重兵器の提供が4月後半にやっと始まった点だ。それまでは西側諸国による兵器提供は主に対戦車ミサイルや対ヘリミサイルなど携帯用の兵器、つまり歩兵が一人でも持てる様なもののみだった。西側諸国はロシアがウクライナの国土の大部分を占領するだろうと想定し、それに合わせてゲリラ戦でウクライナ人に強みになる兵器を提供していた。だから対戦車、対ヘリミサイルが提供のメインとなった。重兵器はそもそも両軍が互角の戦いを繰り広げている際にメインになる。西側諸国はそうなる(互角の戦い)と思っていなかったので重兵器の提供を躊躇っていた。それが4月後半になってやっと行われるようになった。なぜならその頃にウクライナ軍が戦線を維持でき、ロシアによるウクライナ全土占領は難しいと分かったからだ。しかし、もっと早く気づいて3月の初めに重兵器を受け取っていたら今の戦線はもっとウクライナに有利に動いていた可能性もある。兵器提供が遅れたことによって余計な命を奪われたし、余計な国土を占領されることになったので全体的に戦争の長期化に繋がった。
総じて言うと西側諸国による兵器提供が1ヶ月半遅れたことは判断力の遅さの表れ。この点は見直すべき。これからはウクライナに対して無制限に必要な兵器を提供する必要がある。それのみがウクライナ軍が戦争に勝って平和を取り戻す唯一の方法の為、これについては西側諸国は躊躇ってはいけないと思う。
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