「日本は国際情勢に対し当事者意識持つことが大事」 国際政治学者グレンコ・アンドリー氏
Japan In-depth / 2022年5月7日 13時0分
また、彼らは「抵抗をやめたら命が助かる」と主張するが、それも間違い。相手はロシアである以上、降伏しても命が助からない。この2ヶ月の間に、ロシアが占領したウクライナの地域で無差別大虐殺が各地で発生した。全く抵抗しなくても、ロシア軍は民家に入って、女や子供を強姦して殺したり、男を拷問して殺したりする。家の中にいても侵入されて殺される、外に出ても射殺される、つまり何をしていても殺されてしまう。こういった行為はロシア軍が占領地において日常的に行っていることであり、ウクライナが本当に降伏すれば、虐殺はウクライナ全土で行われる恐れがある。よって降伏すれば命が助かるというのは根本的な間違い。
また、こういった考えを持つ人は、身に危険が及ぶ人は逃げれば良いと言うが、生活を投げ出して逃げることができない人も非常に多くいる。その様な人は残った場所が占領されれば殺される。だから、命を助けるという観点から見ると、軍が戦うことが最小限の犠牲で済む一番合理的な選択だと評価できる。
ウクライナも妥協すべきという意見を持つ人々は、妥協が選択肢としてないことを理解していないし、降伏すれば命が助かるという嘘を信じてしまっている。これらの意見はウクライナの現状を理解してロシアの本質を見極めたとは言えないので、聞くに値しない。
■ ウクライナのEU・NATO加盟の見通し
藤澤:ウクライナは引き続きEU加盟、NATO加盟を望むと思うか?
グレンコ氏:これからも続いていくと思う。NATO加盟が必要な理由は集団防衛体制によって安全が確保されるから。もしウクライナが加盟国であったならば、戦争は絶対に発生しなかった。今回の戦争から反省して加盟の必要性について、国民はしっかり認識できただろう。ウクライナが戦争に勝てば、加盟すると思う。また、EU加盟もそうだ。EUは経済同盟なので加盟すれば、加盟国としてEUから様々な支援を受けられ、ウクライナの経済発展の重要な基盤となるはずだから、これからもEUの加盟を目指して、実現させる必要がある。
■ 私たちができること
藤澤:私達一般人が知っておくべきことやできることは何か?
グレンコ氏:まず、一般人に理解して欲しいのは、日常の暮らしと安全保障は直結するということだ。国際情勢と自分の生活とは関係ないという考え方は、完全に間違っている。もし、国際情勢が不安定化してウクライナみたいな戦争になってしまえば、一般人の日常生活も完全に破壊され、悲惨なものになってしまう。国防と日常生活が直結する認識を持ちながら、国際情勢の動きに対して当事者意識をもつのも大事だと思う。つまり、国際問題は遠くある問題ではなく自分自身の問題でもあるということを念頭に置いてもらいたい。
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