安倍元総理の軍拡に対する反論
Japan In-depth / 2022年5月25日 8時49分
このような高コストの装備を調達していれば、弾薬や訓練費などに予算がいかないのは当たり前の話だ。防衛費を増やす前に、まず調達の適正化をすべきなのは当たり前の話だ。それができない組織に予算を増やしても濫費するだけに終わるのは目に見えている。
自衛隊の調達が高コストなのはまず、他国では当たり前にやっている、「いつまでに何を、いくつ調達して戦力化して、予算はどれだけ」という計画がないからだ。
他国ではその計画を議会が承認して国防省がメーカーや商社と契約する。それができないから毎年単年度で細々と調達する。だから我が国では国会議員ですら10式戦車がいったい何両調達されて、いつまで戦力化され、総予算はいくらかを知らない。このような無責任体制になっている。調達が5年で終わるのか、30年後に終わるのかでは、ラインの維持費は6倍も違う。当然コストは高くなる。これは輸入品でも同じだ。これを放置してきたのは他ならぬ自民党政権である。
もう一つの理由は日本の防衛産業が防衛省に寄生する零細事業ばかりだからだ。小さな防衛省の市場を複数の企業で分け合っている。これらを喰わせるために発注を小さくしているのだ。その好例がヘリメーカーだ。機体メーカー3社、エンジンメーカー2社がほぼ防衛省需要に依存している。例外は川重とエアバスヘリとジョイントベンチャーのBK117ぐらいだ。国内市場にしても民間は勿論、海保、警察、消防、自治体も外国製ヘリを使用している。そしてメーカーには内外の市場に打ってでて軍民両市場で一定のシェアを取りメーカーとして自立するつもりはサラサラない。50代になって親に喰わせてもらっている「子供部屋おじさん」と同じである。
本来このような場合、政府や防衛省、経産省はメーカーの統廃合を促すべきだ。事実、欧州は勿論、ロシアや共産主義の中国ですらこれを実行している。だが我が国では決断ができない。それは政治のリーダーシップが欠如しているからだ。メーカーの統廃合ができないならば、輸入に切り替えてヘリ産業を潰すという手段もある。そうすれば調達コストは数分の一に下がる。どうせ将来自立する気がないのだから駄目な業界に補助金の如く予算をまく必要はない。メーカーはカネや人員を儲かるビジネスに振り向ければいい。このような不効率な防衛産業が放置されているのも、これまた政治の無策の原因である。
第二次安倍内閣では防衛予算を増やしたにも関わらず、自衛隊を弱体化させた。これは米政府の歓心を買うために首相官邸主導で、グローバルホーク、オスプレイ、イージス・アショアなどの不要で高価な米国製兵器を導入したからだ。
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