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「石原慎太郎さんとの私的な思い出6」続:身捨つるほどの祖国はありや21

Japan In-depth / 2022年8月9日 23時17分

『鷗外 青春診療録控』(山崎光夫 中央公論新社 2021年刊)という。


鷗外の『カズイスチカ』という短編小説、東大の医学部を出て陸軍に出仕するまでの数か月間、父親の橘井堂という医院を手伝っていたときの思い出を綴ったその短編などを基にした作品だ。


そこに「生理的腫瘍」という話がでてくる。要するに妊娠のことである。子が無くて夫に別れてから、裁縫をして一人で暮らしている後家さんが患者である。腹腔内に水がたまったので水を取ってもらう話になったところが、どうも堅いから癌かもしれないといって他の医者は針を刺してくれなかったと言って、鷗外の父親の医院をおとずれたのである。


それが、なんことはない、妊娠していたに過ぎないという話なのだが、独り暮らしの女性なので、そんなことを誰も疑わなかったというのだ。


「まあ、套管針なんぞを立てられなくて為合せだった。」と若き鷗外が診断する。


「此女の家の門口に懸かっている『御仕立物』という御家流で書いた看板の下を潜って、若い小学教員が一人度々出入りしていたといふことが、後になって評判せられた。」と結ばれている。


これも男と女の話だな、と私は石原さんの『「私」という男の生涯』を読んだ後だけに、あらためで思うのである。


人気作家で参議院議員、次いで衆議院議員、都知事の男も男なら、小学教員も男ということである。


トップ写真:デンマークのコペンハーゲンにてオリンピック会場公開式に参加する石原氏。2009年10月2日。


出典:Photo by Peter Macdiarmid/Getty Images


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