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「石原さんとの私的思い出7」続:身捨つるほどの祖国はありや22

Japan In-depth / 2022年9月21日 21時0分

「仲間への義理を果たしてまたも飛ぶようにして病院に戻った。」(412頁)とも石原さんは書いている。


それにしても、まことにうかつ千万なことだが、私は今回石原さんが私の病気見舞いをしてくれたことを書き始めるまで、私のいた病室、石原さんが見舞ってくれた病室が、実は石原さんにとって人生の決定的な思いの凝縮した場所だったということにまったく気づかないでいた。なんということだろう。


私がその部屋に入院したのは、胆のうを取り去るための手術をする目的だった。


前年から胃の痛みがひどかったので、当時かかりつけだったT医師のところに行って相談して検査を受けた。すると肝臓のガンマGTPの値が極端に高いと深刻な顔をして言う。早速本格的な検査することになった。検査の結果は、胆石ができているといいうことだった。そう宣告されてみると、思いあたることばかりだった。美食と美酒、または暴飲暴食。だが、私は決して料理やお酒を愉しんでいたわけではない。私にしてみれば、仕事にからんでの止むを得ざる食事と酒だったのだ。現に、今の私は酒を飲まずおいしい食べ物を追わない。


胆石だけではなく、その胆石のできている胆のう全体を取り去るというT医師に、私は、「胆石を衝撃波で破壊してください。いまはそうするっていうじゃないですか」と反論した。するとT医師はこともなげに、「いや、胆のうごと取らなきゃならないんですよ。」と答える。私が、「いや胆石だけ取って貰えばいいんですから。よく、電波かなにかの焦点を身体のなかにできた石に当てて、そこで強い電圧とかをかけるとかして壊してしまうっていうじゃないですか。その方法がいいんじゃないですか」とたずねると、


「あ、それは違うんです。胆石ではそれはできないでですよ。その方法は尿管結石の場合で、胆石のときは胆のうごと取り去るのが当たり前なんです。」とのたまった。「はあ、そうなんですか」というしかなく、私は入院して胆のうを切除することとあいなったのである。


その時点ではT医師の親しい虎ノ門病院での手術を予定していた。予め、身勝手な睡眠のスケジュールで暮らしている我が身を振り返って、ぜひにと個室をと頼んであった。ところが、入院の直前になって、それも執刀医も優れた医師に決まった後になってから、突然個室がとれるかどうかわからないとT医師が言いだしたのだ。虎の門病院は国立なので個室の予約を予め確定するわけにはいかず、入院してから初めて個室だと決まるのだという話だった。


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