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「石原さんとの私的思い出7」続:身捨つるほどの祖国はありや22

Japan In-depth / 2022年9月21日 21時0分

それにしても私にとっては、意外千万の見舞いだった。石原さんの酔狂だったということなのだろうか。


「酔狂」という言葉は、石原さんが私に繰り返し教えてくれた言葉だ。文学は酔狂なんだ。それが無くては小説なんぞ書けないよ、と。


それでは、石原さんは私の病気、それも胆のうを取るといった程度の入院を見舞うことで、自ら酔狂を演じてみせ、私に酔狂とはどんなものかをわからせようとしてくれたのだろうか。


そうかもしれない。それならそれで、やっと私を突然に見舞ってくれたわけが分かるような気がする。まことに石原さんは私にとって文学の師だったのだ。


そういえば、石原さんはもちろん私のこともよく知っている見城さんが、あの天才編集者と自他ともに認めている見城さんが、「とにかく、石原さんとあなたとは作家同士だからね。石原さんがあなたにこだわるのは、そういう、作家同士にしかわからない本能的ななにかがあるんじゃないのかな」と言ってくれたことがあった。


大作家石原慎太郎が、後輩の途上作家を、因縁の病室に見舞ったとでもいったことであったのだろう。なんということだろうか。私はここでも、石原さんの恩に応えることをしないままにうかうかと過ごしてしまったようだ。


(つづく)


トップ写真:第12回IAAF世界陸上競技選手権大会の祝賀会に出席する石原慎太郎氏(ドイツ・ベルリン 2009年8月20日) 出典:Photo by Mark Dadswell/Getty Images


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