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雑誌メディアはデジタルの世紀においても夢と時代を運ぶ宝船なのか その歴史から紐解く(下)

Japan In-depth / 2022年11月18日 17時29分

雑誌メディアはデジタルの世紀においても夢と時代を運ぶ宝船なのか その歴史から紐解く(下)


松永裕司(Forbes Official Columnist)


「松永裕司のメディア、スポーツ&テクノロジー」





 


【まとめ】


・Google的発想およびAmazon的発想は、52年前の『WEC』の発行によりアメリカ人に植え付けられた概念だったとさえ考えられる。


・「Whole Earth Catalog」は『宝島』や『Popeye』など日本のサブカル雑誌誕生にも多大な影響を与えた。


・1995年前後からデジタルメディアが登場。今後雑誌は消費されるだけの存在となるのか。宝船へと姿を変えるのか。我々は時代の岐路を眺めている。


 


(上のつづき)


このブランドという創刊編集者はアメリカの各カリスマから「神格化」された人物。1938年12月14日、イリノイ州ロックフォード出身、スタンフォード大学で生物学を修め、一時的に従軍、米陸軍空挺部隊に籍を置いた。その後、サンフランシスコ芸術大学(San Francisco Art Institute)でデザインを、サンフランシスコ州立大学(San Francisco State Collage)で写真を学ぶ。同時期に合法的LSD体験の研究に参加、またネイティブ・アメリカンの女性と結婚するなど、当時のヒッピー文化の王道(?)を歩み、ヒッピーの生活に役立つカタログとして、『Whole Earth Catalog』の発行にこぎつけた。もちろん、PC登場のはるか昔、タイプライター、ポラロイド写真などなどの素材を駆使し、雑誌化に挑んだ。



写真:スチュワートブランド(カリフォルニア州サンフランシスコ 1975年9月)


出典:Photo by Janet Fries/Getty Images


 暗黒に浮かぶ地球の姿を表紙としたが当時、真っ暗な宇宙に浮かぶ地球の写真を目にした人々はまだ稀。その写真の開示をNASAに要求し掲載。いまでこそ当たり前のように思われるが、その写真だけで、世の中に相当なインパクトを与えたことは想像に難くない。宇宙空間に浮かぶ地球を一般の人が目にしたのは、この雑誌の表紙が初めてだったとまで言われる。


 ブランドは1966年にSDGsの概念を初めて世に送り出した思想家バックミンスター・フラーの講演を公聴する機会に恵まれた。この講演は後に『宇宙船地球号操縦マニュアル』として上梓され、フラーは「宇宙船地球号」という言葉を生み出した人物として知られる。ドラッカーやイサム・ノグチと深い親交もあり、彼の唱えた宇宙船地球号は、『WEC』の表紙として具体的に示されたとしても過言ではない。


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