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自衛隊に当事者能力がないので、防衛費を上げても防衛は強化できない

Japan In-depth / 2022年12月3日 23時0分

自衛隊に当事者能力がないので、防衛費を上げても防衛は強化できない


清谷信一(防衛ジャーナリスト)





 


【まとめ】


・自民党防衛族や安倍派議員は、国債で借金して軍拡をせよとの大合唱だ。


・財政赤字を抱え、少子高齢化が進む我が国が借金で大軍拡をすれば国力は大きく弱まり、かつてのソ連同様に自壊するだろう。


・予算を増やす前に防衛省や自衛隊の当事者能力を強化すべきで、そのためには納税者に対する徹底的な情報開示が必要だ。


 


自民党防衛族や安倍派議員は、国債で借金して軍拡をせよとの大合唱だ。だが、自衛隊に当事者能力がないので、防衛費を上げても防衛は強化できない。


そもそも借金軍拡を言い出したのは暗殺された安倍晋三元首相だ。だが現在ですら地方含めればGDPの2.6倍という第二次大戦末期より大きな財政赤字を抱え、しかも少子高齢化が進む我が国が借金で大軍拡をすれば国力は大きく弱まり、かつてのソ連同様に自壊するだろう。国会議員が、無限に国が借金できる、あるいはばらまきが可能あると信じているのは戦慄すべき事実だ。


安倍元首相が借金軍拡を言い出したのはアベノミクスの失敗は、誰が見ても明らかなり、自分の権力維持のために「強いリーダー」を演出するための方便だったではないか。そもそも安倍首相が約束していた10年でGDP650兆円、個人所得150万円アップが実現していたら防衛費増額に国債を発行する必要などなかったはずだ。


そもそも自衛隊は軍隊としての常識がない。ある意味、準禁治産者のような組織であり、予算の使い方がずさんで無駄が多い。このような組織の予算を増やしてもザルで水をすくうようなものだ。その典型例が陸上自衛隊の航空隊だ。


陸自は攻撃ヘリコプター、AH-1Sの後継としてAH-64Dをライセンス生産で導入したが62機調達する予定が2002~2007年度に13機で終わった(1機は事故で損失)。これはボーイング社のラインが閉じたことが最大に原因だったが、これは誰でも知っていた。ラインが閉じるのであれば早期に発注をすればよかったがそれもできなかった。そして富士重工(現スバル)は調達中止を受けてライン構築費などの初期費用を最後のロットの機体に載せて要求したが、防衛省はこれを契約がないと拒否して裁判となった。数千億円のプロジェクトが防衛省では「口約束」だったのだ。現在でもこれは変わらない。


諸外国では調達機を決定し、その調達数、調達期間(=戦力化までの時間)、総経費を議会に出して承認されてから契約を行うがこの当たり前のことを防衛省は未だにやっていない。例えば10式戦車にして自民党国防部会の議員含めて、国会議員は誰も何両が調達されるかも知らないのに毎年予算を承認している。


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