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「石原さんとの私的思い出10(完)」続:身捨つるほどの祖国はありや26

Japan In-depth / 2023年1月11日 23時6分

同じ2006年、9月14日のお電話はとることができなかった。15時20分に石原さんから電話が入っていると秘書が取り次いでくれたのだが、私は会議中だったので秘書がその旨伝えたところ、「また改めます」とのことだった。石原さんらしい。


その改めてくださった電話が、一か月後の10月13日だった。11時10分から14分間お話ししている。


発展があった様子だった。


「幼なじみと結ばれてね。いや、英造の方さ。


財団について、西脇の妻、つまり英造の幼なじみが直談判するんだ。


英造は、「わかった。あなたのことは命を懸けて守る」って、約束する。


ところが、そこ、ホテルでの密会を弟に見られてしまうんだ。」


幼なじみへの石原さんの、強い執着がどうやら小説の骨の髄のようだった。


そういえば、『「私」という男の生涯』には、石原さんが未だ高校生だった後の奥様と連れ込みホテルに入ったのを、親戚の誰かに見られてしまったという逸話があった。情事とは時としてそうした思いもかけない結果につながるものなのだろう。その結果、情事の当事者二人の運命が転変する。


「でね、西脇側と切れ者ヤクザの英造との間で、例の念書を焼いたらゴルフ場のチェーンを渡すって約束になるんだな。


といっても、初めから騙しだ。騙して追い出そうっていう魂胆なんだよ、西脇の側は。


でもね、英造もバカじゃないから、念書のカラーコピーを取っている。しかも公正証書にまでしてね」


私は、会社の所有関係が気になったので、


「で、会社の所有はどうなるんですか?」


とたずねた。


どちらのせいでか、この短い電話では足りなかったらしく、翌日、10月14日にもお電話をいただいた。


石原さんは逗子にいらした。夜の9時12分から10時4分までお話ししている。


「西脇にしてみると、ゴルフ場を売って銀行への借金をゼロにしたって、そんな馬鹿な、っていう感じなんだ。値上がり益とチェーン化してあることからして、借金ゼロでは少なすぎる、ってことなんだな。」


そう言ってから、石原さんは不思議な一言を付け加えた。


「そんなこと、今の時代にはだめさ。待ってくれないんだよ」


2006年には、10月31日にもお電話でお話ししている。夕方5時19分までの長電話だった。


会社の仕組みがさらに具体化して、西脇のダミーとして、会長に武田という人間を置き、さらに社長に英造の妻がなっている。たぶん、これは英造のもとへ走って妻になる女性のことだろう。


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