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「石原さんとの私的思い出10(完)」続:身捨つるほどの祖国はありや26

Japan In-depth / 2023年1月11日 23時6分

130億という金額も特定された。


銀行から西脇が借りてゴルフ場を買う。西脇の会社の株券を英造が手に入れ、別個の会社を作ってゴルフ場も手に入れ、返済は西脇がやれ、と英造が言いだす。もちろん、株券を渡したのは、幼なじみの女性だ。


英造は、担保のついていないゴルフ場を手に入れたってわけだ。


石原さんは饒舌だった。


「でもね、西脇は念書を取り返すんだ。」


同じ年、12月18日にもお電話をいただいた。


昼0時38分から1時2分までだから、30分足らず、ということになる。


小説はドラマティックな展開をみせる。


英造と西脇の妻とが男女関係にあることが発覚してしまうのだ。すると義兄が居直る。英造をやっつけようと言いだすのだ。


そのときに西脇の優秀な総務が、「ゴルフ場の借金、返済しないでいいですよ。求償権を西脇が放棄したって相手は思ってますが、取締役会の決議がありません。ですから無効です。」


さらに、その総務は、「ですから、ゴルフ場の仮差押えをやりましょう。そしたら、絶対に相手は事業展開に差し支えます。仮差押えは公の登記簿に出ますからね。他の銀行だって相手にしません。」


と言いだすのだ。


「で、英造は女と逃避行だ。金を作る。」


英造と手に手を取って逃げ出すの女性の名は、和枝と決まっていた。西脇も西脇興産と名づけられた。


そういえば、この電話の最後、どういう経緯でか、糸山氏や帝拳などという名前が石原さんの口からでてきた。しかし、小説そのものとの関係としてではなかった。石原さんはなにも絵解きをしなかったけれど、彼の頭のなかではつながっていたのかもしれない。


さらに、翌日月19日にもお電話をいただいて、夜の10時10分から47分まで、40分間足らずお話ししている。


前日のやりとりの復習をすると、石原さんは、


「あなたの小説は、彩りがたりない。そのとき着ていた服とか、たばこのくわえ方、キャラクターの癖とか、そういう色彩が欲しいんだ。


ひと言でいうと、無駄がなさ過ぎる。


牛島さん、小説は酔狂だよ、酔狂が要る。」


と、教えてくれてから、


「人を訪ねて行ったら、先ずなにか話すでしょう。


事件だけでは、固くて、縮小してしまうんだよ。


あなたのは、素っ気ないんだなあ。」


そういうと、秘密を打ち明けるように、


「都知事、飽きた。なにかサブスタンシャルなもの。そう、サブスタンシャルなものがないかなあ。」


その時にシーザーの名を出したのは、私だったろうか、石原さんだったろうか。


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