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オスプレイは陸自から海自に移管すべき

Japan In-depth / 2023年2月1日 11時0分

オスプレイの運用を陸自から切り離せば、陸自航空隊には余裕が生まれる。浮いた予算をUH-2の調達を増やしたり、他の用途に使用できる。実は陸自ではヘリは足りない。特に観測ヘリOH-6が退役してからは小口輸送や連絡、小型ヘリが存在していない。これに中型ヘリのUH-2やUH-60を使用するのはコスト的にも割が合わない。


AH-64DやAH-1Sなどの攻撃ヘリ、偵察ヘリのOH-1は用途廃止の予定で、偵察や攻撃は無人機をあてることになっている。このため有人の偵察ヘリも存在しなくなる。だが有人偵察の必要性が全くなくなるわけではないし、サイバー攻撃を受けて無人機が使用できない場合も想定される。


陸自では戦時に戦傷隊員を後送するためのメディバックヘリが存在しない。前線から後方の師団レベルの野戦病院まで迅速に輸送する手段が存在ない。他国では当然のように存在している装甲野戦救急車の調達もこれからだ。陸自は汎用ヘリで兼用するといっているが現在のヘリの数であれば航空隊にその余裕はない。



写真)海自がTH-135として採用したH135


出典)海上自衛隊ホームページ


そうであれば連絡、小口輸送、偵察、メディバックを兼ねた小型ヘリを調達すべきだ。筆者はエアバスヘリのH-135M、より大型のH-145M、あるいはその米陸軍が州兵向けに導入している派生型のUH-72Bラコタが適切だと考える。その理由はこれらの機体がクラムシェルを採用しておりキャビンが広く使えて、ストレッチャーや偵察バイクの昇降が容易であることだ。このため民間のドクターヘリにも多用されている。


またHフォース(HForce)という容易にロールオン・ロールオフが可能な武装キットが存在する。陸幕は既存のヘリに武装を搭載する構想を持っている。であればUH-60やUH-2が対象となるが、その分だけただでさえ不足している輸送能力が減ることになる。しかもあらたに武装システムを開発することになり、コストも高くなる。むしろ軽汎用ヘリを導入し、これを武装ヘリにも利用するほうがリーズナブルだ。



写真)HForceを搭載したH145M


© Airbus Helicopters / Anthony PECCHI


また上記2機種は民間型が日本で多数運用され、エアバスヘリの国内整備工場が存在していること、更にH-145は川重とのジョイントベンチャーで半分日本製であること、UH-72Bは米軍との相互運用性が確保できることなど、利点が挙げられる。


さらに陸自の練習ヘリもこれらの機体にすれば有事にはこれらを予備の機体として利用できる。H135は海自でも練習ヘリとして使用している。H-145は機体がより大きく、練習ヘリには過大だが、有事の予備機を兼ね、訓練や整備の共用性を考えれば費用対効果は意外に高い可能性がある。


いずれにしても統合運用という観点から各自衛隊間で、装備や要員の移管を行って予算を有効的に使うべきだろう。単に予算さえ増やせば防衛力が強化できるわけでなく、既存のアセットを有意義に活用して防衛費の増大は最低限に抑えるべきだ。


トップ写真:富士総合火力演習で展示された陸自のオスプレイ(2022年5月22日 静岡・東富士演習場)


出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images


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