MRJ事業の危うさ
Japan In-depth / 2023年2月21日 18時0分
このような取り組みは経産省のみでは不可能で、経産省、防衛省、国交省、文科省、財務省など関係省庁の協力が不可欠であるが、現在の縦割り行政のままでは不可能であろう。このような案がベストだと主張するつもりはないが、多くのオプションを想定し、国の政策を決定すべきであろう。
また補助金や開発資金に関していえば、経産省が日本航空機開発協会(JADC)、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などただでさえ効率が悪い業界団体や特殊法人を通して行っている総花的なばらまきをやめる、あるいはボーイングの旅客機開発に対して行っている巨額の政府資金の提供を止めて国産旅客機開発に振り向けるならば容易に捻出できる。更には防衛省が海外から兵器を購入する際にオフセットを導入し、兵器を輸入する見返りに国産旅客機を買わせるといった手法などもオプションにいれるべきであろう。
このまま何の対策も講じずに放置すれば、我が国の防衛・航空宇宙産業は緩慢な死を迎えるか、外国資本の傘下に入って生き残るかしか道はあるまい。
我が国の安全保障にとって独自の防衛航空宇宙産業とその生産基盤の維持は必要である。これを維持発展させるためには民間機市場への参入が不可欠である。いまこそ内閣府あるいは首相官邸が音頭をとって政治主導で省庁の垣根にとらわれない、長期的視野に立った政策を立案実行するべきである。
引用、終わり
(本記事は、文藝春秋社「諸君!」2008年4月号に掲載されたものの転載です)
トップ写真:パリ航空ショー開幕前日、MRJ第3機目の前で握手を交わす水谷久和(右)三菱航空機株式会社社長、宮永俊一(中央)三菱重工業社長兼最高経営責任者、篠部修(左)ANAホールディングス株式会社副会長(2017年6月)出典:Photo by Yuriko Nakao/Getty Images
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