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陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは

Japan In-depth / 2023年4月1日 23時56分

陸自新型装甲ドーザーの調達は国産ありきでは




清谷信一(防衛ジャーナリスト)





【まとめ】





・防衛省は日立が開発した新型の「ドーザ(装甲付き)」(仮称)を2023年度から調達予定。





・当初日立案とトルコのFNSSが提案するAACEが候補として上がっていた。





・日立案とAACEの両方を試験調達して調査を行い、結果を公表すれば良かったのでは。





 





3月29日、総額が過去最大の114兆円あまりとなる令和5年(2023)度予算が参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で成立した。防衛費は過去最大の6兆8219億円で、前年度の当初予算と比べて1兆4000億円余り多く、約1.3倍と大幅な増額となった。





防衛費の大幅増額は、財源も含めて大きな議論となっているが、果たして予算は納税者が納得できる透明性を確保して合理的、あるいは効率的であるのかは大変疑問がある。





防衛省は陸上自衛隊のコマツ製の75式装甲ドーザーの後継として日立が開発した新型の装甲ドーザー、「ドーザ(装甲付き)」(仮称)を2023年度から調達する。約60年ぶりの更新である。





陸自は施設科(工兵)を軽視してきた。戦車に関しては90年に調達を開始した、90式戦車は改修・近代化すれば使えるのに、わざわざ大同小異の10式戦車を1千億円の開発費をかけて開発し、1両あたり15億円もかけて調達している。対して74式戦車と同じ世代の、75年に調達が開始された装甲ドーザーを60年近くも更新してこなかったことは施設科(工兵)軽視であり、大変問題だ。75式は途中近代化もされておらず、恐らくは部品も枯渇しており、稼働率は相当下がっているだろう。





戦車だけを新調しても、このような施設科(工兵)装備をないがしろにしては、機甲戦闘を戦えない。このような装甲ドーザーなどの戦闘工兵用機材は戦車や機甲部隊の進撃路の啓開や、退避壕、陣地などの造成に必要不可欠だ。





それは普通科(歩兵)や特科(砲兵)でも同じで、このような戦闘工兵用装備を軽視してきたことは陸自が実戦を想定していない証左といえよう。それでも遅まきながら、新型装甲ドーザーが開発されたが、その選定には相当疑問と疑惑が残る。





新型装甲ドーザーは2023年度予算では36.5億円で5両が調達される。単価は7.3億円である。新型ドーザーは75式より防御性能や速度性能が向上している。重量26トン以下 高さ:3.3メートル以下 幅:3.2メートル以下 長さ:8メートル以下。無人操縦は付加されていないが、量産品では付加される可能性があると陸幕は説明する。だがこの調達には多くの疑問点がある。





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