平成25年の年賀状 「10年ひと昔」・「父との生活」
Japan In-depth / 2023年10月12日 22時17分
牛島信(弁護士・小説家・元検事)
平成25年の年賀状 「10年ひと昔」・「父との生活」
昨年の末、といってもつい一〇日ほど前、事務所恒例のイヤーエンド・パーティーをしました。二八回目、新しいパレスホテルです。
三四年前、私はこのホテルの隣にかつてあったAIUビルで働き始め、ホテルの部屋に次々と明かりが灯ってゆくのを横目で眺めながら、書類の頁をめくっていました。
心のなかはいつも太陽が輝いていて、まばゆいばかり。
私の大脳のなかには、あの以前のホテルの建物も、皇居のお堀に沿った隣のビルへの通路も、クッキリと存在しています。
「去年の雪はどこへ行ってしまったのか」
一五世紀のフランスの詩人も、二一世紀のビジネス・ローヤーも同じです。記憶している自分のなかにすべてがあります。その上にまた今年の雪が降り積みます。
どうか、皆さまにとって今年が素晴らしい年となりますよう。
『10年ひと昔』
【まとめ】
・ジャニーズ問題、①独立社外取締役が過半数の取締役会 ②上場を目指すと宣言すべし、と取材に答えた。
・利害関係がない社外取締役が過半数の取締役会をつくらなくてはいけない、とも述べた。
・「関係者」が社長や副社長になり、半数に満たない独立社外取締役のいる取締役会で再スタートしようとしても、分社しようがしまいが、世間の信頼を得ることができるとは思えなかった。
『10年ひと昔』
「三四年前、私はこのホテルの隣にかつてあったAIUビルで働き始め」とある。つまり、今から返り見れば44年前ということだ。確かに計算は合う。29.5歳、3月末で検事を辞めて弁護士になったのだった。
「私の大脳のなかには、あの以前のホテルの建物も、皇居のお堀に沿った隣のビルへの通路も、クッキリと存在しています。」と確信をもって断言している。10年前のことだ。では、いま現在、そう言えるだろうか。どうも少しあやしい気がする。
往時茫々。
63歳は60歳と同じ、60歳は50歳とほとんど同じこと。それなら50歳は40歳と似たものとも言えそうだ。そうなれば、40歳は30歳に、30歳は20歳に、とつながる。
去年ならば73歳は、と始めて同じように言えたかもしれない。しかし、今となってはなんとも怪しい。
大きななにかが肉体の上で起きたのか。
確かに尿路結石ができた。しかし、それは7月13日にレーザーで除去した。そのために3泊4日で入院したのだった。
だが、そんな一つ一つの具体的なことではない何か、得たいの知れないなにかがこの身に起きつつあると感じ始めている。
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