平成25年の年賀状 「10年ひと昔」・「父との生活」
Japan In-depth / 2023年10月12日 22時17分
その後、10月2日の二回目の記者会見までに世間には批判、非難があふれ、ジャニーズ事務所は名称を変更し、新会社を設立することになった。しかし、詳細は明らかではない。一部では860億の節税をしたという相続税を払うという藤島氏の決断がその間にあった。
二回目の記者会見の日、私はテレ東のWBSから取材を受けた。カメラと音声の方々も交えての3人での取材だった。
テレビの画面で、冒頭、「進歩しました」と述べて、私は一定の評価をしている。
そして喜多川氏が大犯罪者であること、独立した社外取締役が過半数の取締役会をつくらなくてはいけない、と断言した。
テレビ局の方に、「独立とは?」とたずねられ、私は、身を乗り出すようにして、
「利害関係がない、ということです。」とゆっくりと述べた。後から画面を観て、私自身、わかってもらえるといいなと感じた。
実は、最後の質問は、取材を一応終えたところで担当の方が、もう一点だけ聞きたいことがある、といわれて、録画と録音を再開してのやりとりだった。
私はコーポレートガバナンスの観点からは、常に独立した社外取締役が取締役会の過半数でなければならいという考えは持っていない。むしろ反対である。日本の現状の会社の人的構成、すなわち生え抜き従業員が幹部になり経営にたずさわっている状況からは、社内取締役の存在をそれとして生かしてゆくことが大事だろうと考えている。それには、独立社外取締役への情報へのアクセスの問題や、独立社外取締役を補佐する取締役会事務局の独立性の問題もからんでいる。
ただ、ジャニーズ事務所の関係者は、9月7日にジャニーズ事務所という社名を継続するという判断を是とした方々である。そうした「関係者」が社長や副社長になり、半数に満たない独立社外取締役のいる取締役会で再スタートしようとしても、分社しようがしまいが、世間の信頼を得ることができるとは思えなかったのである。
執行と監督。コーポレートガバナンスの大原則の問題である。
「去年の雪はどこへ行ってしまったのか」は、もちろん、フランスの詩人であるフランソワ・ヴィヨン(1431頃〰1463年以後)の一節である。ヴィヨンを知ったのはどういう経緯だったのか。読んだのは『ヴィヨン全詩集』 (鈴木信太郎訳、岩波文庫, 1965)だったに違いない。ランボー経由か鈴木信太郎に教えられたのか。大学時代のことである。
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