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他国の10倍の価格の防弾板で調達が進まぬ陸自最新型防弾ベスト

Japan In-depth / 2023年12月22日 23時0分

18式でソフト・アーマーとプレート・キャリアを分離したのは、被弾時に脱がせ易くするためだ。そしてソフト・アーマーもまた単体では使用できない。胴体部はプレート・キャリアを装着するためのベルクロテープだけなので、弾倉入れなどのポーチなどの装備が装着できない。例えば、敵の銃弾が飛んでこないエリアで活動する特科(砲兵)部隊ならば砲弾の破片から身を守るソフト・アーマーだけでもいいはずだ。これに関しては今後装着できるシステムを追加すること検討しているとのことだ。だがそれは、当初開発から想定しておくべきことだ。



写真)ソフトアーマーにポーチなどが装着できない 筆者提供)



写真)ソフトアーマー前部には取り外し式のパットが装備されている 筆者提供)



写真)プレートキャリア部分にはクッションがない。


筆者提供)


 


■法外な単価で防弾版の普及進まず


もう一つの問題が防弾板の価格である。問題はその価格だ。18式防弾ベスト1式の調達単価は3,630,800円(令和5年度調達実績)、ソフト・アーマー及びプレート・キャリア:220,800円、防弾版:3,410,000円(胸部×1、背部×1、脇部×2、下腹部×1、上腕部×2)となっている。


この防弾板は約340万円という単価は諸外国のものの約10倍である。どこの国の軍隊でも国内産業保護は考慮しているが、一桁も高いものを導入する胡乱な軍隊は存在しない。陸自は火器などでも一桁高いもの平然と調達するので、感覚が麻痺しているのではないか。因みにその他のコンポーネントは概ね諸外国の2~3倍程度である。


この法外な単価のせいで、18式の調達は非常に遅く、歪なものとなるだろう。毎年の調達数が少ない上に、更に防弾板がほとんど調達されないだろう。本年度予算には8千セットが27億円で要求されているが、防弾板のセットはその予算内で僅か100セット、8千セット中の僅か、1.25パーセント分しか調達されていない。


現用の防弾チョッキ3型改でも本来装備されているはずの防弾板がほとんど支給されていない。1個中隊でわずか数セットしかない。これまた防弾板の価格が高価だったからだ。それが揃わないうちに18式の導入が開始されたということは防弾チョッキ3型改の調達は失敗に終わったということだ。装備開発に置いては価格のコントロールは必要不可欠だ。価格も性能の一部である。


陸幕は防弾チョッキ3型改の調達の失敗を「失敗」だと思っていなかったのだろう。だから18式でも同じ間違いを犯している。18式の単価は3型改の約3倍であり、より調達が遅延することが予想される。陸幕ではプレートの調達を再考し、輸入も含めて調達コストを低減するという。


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