1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

他国の10倍の価格の防弾板で調達が進まぬ陸自最新型防弾ベスト

Japan In-depth / 2023年12月22日 23時0分

陸幕にはそもそも何年で18式を全部隊の必要数調達するという計画が存在しない。これは軍隊ではあり得ないことだ。更新が長引けば、各部隊でバラバラの装備をすることになり、戦力の見積もりはもちろん、訓練や兵站でも負担が増える。


本来軍隊ではこのような個人装備は全キットを揃えて部隊ごとに、支給していく。例えば5年で全部更新する。このような計画が陸幕には存在しない。新装備を導入して戦力の維持強化を図るのではなく、新装備導入自体が目的している。調達計画が存在しないということは当事者能力が欠如しているということだ。


もうひとつ問題なのは教範(運用マニュアル)が存在しないことだ。簡単な取り扱い説明書しか配布されていない。つまり、どのような任務やその脅威度によってプレート・キャリア部分を分離して使用するのか、どのプレートを装着しないか、などといった運用が示されていない。各部隊では部隊ごとに使い方を研究して決めないといけない。当然全部隊ではバラバラな運用になる。これでは軍隊ではなく山賊、軍閥の類である。これに関しては今後縛りの多い教範を作るのではなく、運用も含めて説明書での充実を図るそうである。


 


■抜本的に改善必要、装備庁や陸幕の開発指導能力・調達能力


装備庁や陸幕は世界で行われて軍事見本市にデリゲーションを送って視察をし、陸上自衛隊教育訓練研究本部隷下の開発実験団では外国装備のサンプルを調達して、調査や実験を行っている。それでいて、なぜこのような胡乱で非常識に高価な装備を、調達計画もないまま導入し、使い方すら部隊に丸投げなどとしているか、不思議でならない。


陸幕があてにならないためか、中央即応連隊では独自に外国製のプレート・キャリアの調達を考えているようだ。彼らは海外に邦人保護など「実戦」に派遣される可能性が高いから、それだけ危機感をもっているのだろう。


冒頭で紹介した危機管理産業展の展示も広報上大変問題があった。新型鉄帽も、コンバットシャツも、ベストに装着して使うベルトパッドやマガジンポーチなどのポーチ類さえなかった。防弾板は前後に装着する2枚が装備されていた。マガジンポーチは隊員の私物であろう、中国製のサバゲ用のものが装着されていた。展示を担当していた中央即応連隊の隊員によれば、これらの装備は部隊に未配備とのことだった。



写真)支給品のマガジンポーチがなく私物を使用した模様 筆者提供)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください