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風雲急を告げる東アジア安全保障 Part2「日本の防衛」Japan In-depth創刊10周年記念対談 元防衛相小野寺五典氏

Japan In-depth / 2024年1月15日 0時0分

ただ、最大の強いチームはNATOなのです。アメリカが入ったNATOの防衛費は色々な統計がありますが、世界の防衛費の7割を占めていると聞いています。大変大きな力なわけです。NATOを味方につけることがチームの最も強い役割になる。でもNATOというのは地域連携なんです。ヨーロッパと北米の地域の安全保障に関する連携であり、日本は地域的には入れない。ではどうしたらいいか。





私たちは、次期主力戦闘機の共同開発を、あえてアメリカではなくイギリスとイタリアに決定しました。理由は、もしこの次期主力戦闘機が優秀な戦闘機となり、NATO各国が使用することになれば、既にいろんな国から引き合いが来ています。そうすると日本が3分の1の技術と部品を提供している戦闘機がNATOの標準になるかもしれない。逆に言えば、日本がいなければ、NATOで戦闘機が飛ばないんですよ。これは同盟に近い強い連携チームになります。





実は、今回の防衛装備移転、わたしども大きなチーム作りにも役立つと思ってやっています。だからこそ、早く日本のスタンスを決めれば、日本がNATOの一体となった大きなチームになれるかも知れない。これはすごい抑止力です。





また、万が一中国が台湾に武力侵攻した際にこのエリアが大きな戦域になる。わたしどもシミュレーションを何度も行いました。最前線は日本なんです。そして先ほど話してあるように、日本の周りが、もし海上封鎖されたら一番被害を受ける。経済的にも被害を受けるのは日本国民なんです。だから、戦争を起こしてはいけないのです。起こさせないためには外交じゃないのです。抑止力です。私ども、今回強い日本のチームを作る一つのツールとして、この次期主力戦闘機の開発をぜひ成功させたいと思っています。





安倍: これは本当に重要だということを多くの人に関心を持っていただきたいなと思います。もちろん抑止力は大事ですが、一方で中国の今の野心を少しでも緩和させる努力というのはこれをやらなければならないですよね?





小野寺: だけど、何にも力を持ってない国が外交でこれやめてくれって言ってやめる国はないです。外交というのは、基本的には経済力や軍事力を持っている国がたくさんチームになっているからこそ言葉一つ一つが相手に響くんです。ですから私どもが今やっているのはむしろ外交力をつけるためにチームづくりをしている。最後に外交での働きかけで侵略をやめさせるということがありますが、前提は力がなければ外交力はないのです。





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