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ボストン・ウェルネス通信その5:世界中に広がる食品詐欺

Japan In-depth / 2024年2月28日 23時0分

高価なスパイス(サフランなど)に、スパイス以外の植物(茎など)を混ぜたものがスパイス詐欺の一種です。また、スパイスに染料を使用して特定の色をつけ、特にその色が品質の印象に強く影響する場合も不正の対象となります。チリパウダー、ターメリック、クミンなどのスパイスからは、癌などの健康被害を引き起こす可能性のある鉛含有染料やその他の工業用染料が検出されています。


それでは日本を含めて、アジアではどうでしょうか?


アジアと太平洋地域の食品詐欺


国連食糧農業機関(FAO)は、「アジアと太平洋諸国は、食品詐欺に関する正確なデータの不足で苦しんでいる、依然として食品詐欺によるリスクにさらされていると考えられている」と指摘します(7)。


欧州委員会はEU食品詐欺ネットワークを設立し、政府機関が事件の情報を共有するため、「食品および飼料の緊急警報システム(RASFF)」を新設しました。


そして、タイのマヒドン大学とオーストラリアのウェスタンシドニー大学の研究者らの、2023年の学術誌「Foods」によると(8)、RASFFポータル・データベースは、「詐欺と不純物混入」のカテゴリーで1166件の事例を報告しています。うち663件(56.9%)がアジア産食品によるもので、中国(200件)、インド(172件)、トルコ(117件)、イラン (37件)、日本 (28件)に発見されました。


食品のタイプ(件数)は、ナッツ、ナッツ製品、種子( 189件)、果物と野菜 (96件)、ハーブとスパイス (89件)、シリアルおよびベーカリー製品( 41件)、菓子(29件)、魚および魚製品(29件)、ダイエット食品、栄養補助食品、強化食品( 27件)・・・と続きます。


どうやら食品詐欺は、欧州、米国だけの問題ではなく、アジアにも広がっているようです。著者らは、「アジア大陸には世界の総人口の半分以上が住んでいます。アジア大陸の食品管理システムの強化は、世界の保健衛生と貿易を考慮する上で極めて重要」と指摘します。今後、日本でも、食品詐欺のデータ収集、学術雑誌の論文による分析検討、メディアの報道による議論などが深まることを期待します。


(1)https://www.nytimes.com/2023/12/04/world/europe/olive-oil-fraud-italy-spain.html?searchResultPosition=2


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