トランプ次期米大統領「日米同盟がいかに共通の国益か、3分以内に説明できれば理解されるだろう」高市早苗前経済安全保障相
Japan In-depth / 2024年11月26日 19時55分
ただ、日本の場合はGDPそのものが大きいし、対GDP比2%でも、一昨年12月に、『国家安全保障戦略』『国家防衛戦略』『防衛力整備計画』を策定して、防衛力の抜本的強化に取り組む大きな判断をしていますよね。だから安保3文書に基づき、着実にこれを進めていくことが基本です。
米国側も十分に理解していると思います。
また、F-35戦闘機やトマホーク・ミサイルについても、確実に取得しないと日本の防衛はできませんので、トランプ新政権の安全保障人事を見極めながら、閣僚レベルから実務レベルまで、早急に意思疎通のチャネルをつくることも重要です。
また、トランプ次期大統領によく理解してもらわなくてはならないことは、安倍晋三元総理が提唱された「自由で開かれたインド太平洋」の意義です。ここにアメリカを強く関与させ続けることは、日本の責任です。
それから、トランプ次期大統領にとっての最大の関心事は中国だと思います。今、中国、ロシア、北朝鮮の3か国・地域の結束が強くなっています。アメリカが気にしているのは中国と台湾ではないでしょうか。
TSMCはアメリカにも進出しています。万が一、習近平氏が言っているように2027年までに台湾を統一するというようなことであれば、平和的統一にしても、軍事的統一にしても、どっちにしても困るのが、北京政府の下に台湾が入るということ。そうなると、TSMCも『国家情報法』の適用対象になります。それが一番怖いですね。中国の企業も人民も国家情報工作に協力しなきゃいけない、そして、国家は協力者を保護するという内容ですから、技術情報や人的情報が抜かれ放題になります。それをアメリカは一番嫌がるでしょうから。
だから、経済にしても、台湾海峡や朝鮮半島の安定にしても、日本を味方につけなければ、アメリカに勝ち目はありません。そういう意味で、日本とアメリカには共通の国益があります。在日米軍をはじめ日米同盟は、アメリカの戦略上、不可欠な要素であり、日本との関係を毀損することは、トランプ次期大統領の取引にもマイナスになるということを理解してもらうことが大事だと考えます。
だから、そのような日米共通の国益をトランプ新政権が理解したならば、日本は安保3文書や防衛費を見直す必要はなく、着々とセルフリライアンスというんですかね、自律的に国を守れる力を徐々につけていくということでしょうね。
この他に、例えば次期戦闘機などの防衛装備品を同志国と共同で開発することは、スピンオフによって日本の技術力や経済力の強化につながる取組みだと思っています。『日本の経済安全保障』という拙著にも書いたのですが、F-16を日本の運用法や地理的特性に合わせて日米共同で改造開発したF-2戦闘機から生まれた技術は、骨折した時の補強チタンボルトなどの医療用や、高速道路のETC、車載用衝突防止レーダー、物流の電子タグに活用されました。防衛関係の研究開発を同盟国や同志国と共同で進めることによって、防衛と民生の両方に使える技術から新たな製品やサービスが生まれ、経済成長と税収増につながる効果も期待しています。
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