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トランプ新政権の日本への意味とは その3 トランプ氏の価値観が伝えられない

Japan In-depth / 2025年1月7日 12時56分

さらに批判的人種理論(Critical Race Theory)という思考も革新派、左派の間で広がりました。この思考はWokeにも似て、アメリカの建国から発展のプロセスでの人種問題を再考、再定義しようと考え方です。その核心はアメリカ合衆国はやはり人種差別の国であり、奴隷とされた黒人の迫害の歴史をもっと綿密に、もっと深刻に位置づけようという主張です。これまたこの思考を公立の小中学校でも教えようという動きが広まったのです。





こうした思考に対して、アメリカという国を作ってきた価値観の中核の人たちとされる層はもちろん反対です。保守層、中間層といえる種類のアメリカ国民です。こうした層はオバマ大統領やバイデン大統領が唱えてきたことに対して、トランプ大統領の主張の方が正しいと考えていたわけです。そういう人たちがアメリカ国民の多数派だった。今回の大統領選挙はそんな結果を明示したのです。





トランプ氏の得票がヒスパニックの人たち、若者、黒人、この三種の有権者層で前回より増えたことも、この価値観の争いでは大きな意味がありました。本来、民主党寄りで、その革新的なリベラルの左傾思考を支持していると思われてきたヒスパニック、黒人、若者たちがトランプ氏への支持を増やしたのです。この変化は左傾の思考に反対する人たちが意外と多かった、という全体の選挙結果の肝要な部分を示したといえます。





アメリカはもちろん、どんどん変わっています。新しい社会の現状、さらには国際的な変化などにも合わせて、変わらねばならないというのも現実でしょう。実際に多くのアメリカ国民が自国の変化を求めているともいえます。ただしアメリカらしいアメリカはやはり保っていこうじゃないかという意見も根強いのです。そういう考え方の人たちが中心になってトランプ候補を支持して多数を制した。これが今回の選挙の最大メッセージだとも思います。





――しかし日本ではトランプ氏がそうしたアメリカを本来のアメリカの姿に保とうとする思想を推進しているという側面はあまり知られていませんね。日本の主要メディアの報道のせいなのかもしれませんが。





古森 その通りだと思います。トランプ氏の基本思想は保守であり、愛国であり、アメリカ合衆国の古きよき部分を主体に建国のイデオロギーを守っていこうという姿勢です。





この種の思想とイデオロギー、価値観をトランプ氏が体現しているという事実は日本側でのアメリカ理解においてはきわめて重要です。日本側の識者や主要メディアの多くはアメリカ側の民主党支援のメディアの論調に引きずられるためか、トランプ氏のこのへんの思想とか価値観にはほとんど触れませんね。





(その4につづく。その1,その2)









トップ写真)スタンフォード大学で開催される「WOKEからアメリカを救う方法」と題したマイク・ペンス元米国副大統領の講演に反対する学生らのデモ 2022年2月17日 アメリカ カリフォルニア 





出典)Justin Sullivan/Getty Images





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