日産自動車、バッテリー式EV「アリヤ」小売価格を3万ドル台に引き下げ(米国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月6日 14時0分
日産自動車は3月4日、米国における2024年型バッテリー式電気自動車(BEV)「アリヤ」のバッテリー容量63キロワット時(kWh)のエントリーレベル車「エンゲージ」のメーカー希望小売価格(MSRP)を3万9,590ドルに設定すると発表した。87kWhのロングレンジバッテリーを搭載するモデルも含めて、全体的に仕様により3,600~6,000ドルの引き下げとなる。
アリヤは、BEVとして日産が小型乗用車「リーフ」に次いで、2020年7月から米国で販売するスポーツ用多目的車(SUV)。生産地が日本であることから、インフレ削減法(IRA)の下で制定された最大7,500ドルの税額控除の対象とはなっておらず(2024年1月10日記事参照)、今回の値引きで価格競争力が増すことが期待される。北米日産のトリシャ・ユングEV戦略・変革担当シニア・ディレクターは「EV市場が発展・成長を続ける中、2024年モデルのアリヤの価格改定は、モデルの競争力を向上させ、お客様に最大限の価値を提供することを保証するものだ」と述べた。
アリヤは、上述した2種類のバッテリーサイズのほか、前輪駆動と、デュアルモーター式四輪駆動のラインアップをそろえる。「エンゲージ」の推定航続距離は最大216マイル(約348キロ)で、87kWhのロングレンジバッテリーでは最大304マイルの走行が可能。2024年後半にはテスラが充電ポートに開発した北米充電規格(NACS)のアダプターの利用が可能となり、2025年からはNACS搭載の車両が販売される予定だ。
モーターインテリジェンスによると、米国における2023年のBEV年間販売台数は前年比47.1%増と大幅に伸びたが、2024年1~2月の合計では前年同期比12.9%増にとどまっていることから、伸びの勢いが鈍化しているとの見方もある。そうした中、2月に入りテスラがSUV「モデルY」の新たな値引きを示唆したほか、ゼネラルモーターズ(GM)やフォードも安価なBEVの市場投入で新たな顧客層の開拓を視野に入れる。EV関連の情報サイトのインサイドEVによると、2月時点で販売される303モデル(注1)のうち4万ドル以下の価格帯はシボレー・ボルト、日産リーフなどわずか14モデル(注2)。今回の値引きで3万ドル台に食い込んだアリヤの販売動向が注目される。
(注1)航続距離により分類。同じモデル名でも、仕様により航続距離が異なる場合、別のモデルとして数えられる。
(注2)税引き前のメーカー希望小売価格に基づく。
(大原典子)
(米国、日本)
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