南部バリア・ブンタウ省、海洋経済を生かした発展計画発表(ベトナム)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月12日 0時5分
ベトナム南部バリア・ブンタウ省人民委員会は3月30日、同省の「2021年から2030年までのマスタープラン、2050年までのビジョンと投資促進」に関する発表式典を開催した。ファム・ビエット・タイン同省共産党委員会書記のほか、中央政府からチャン・ホン・ハー副首相ら政府関係者が出席し、周辺地域からもファン・バン・マイ・ホーチミン市人民委員長、ボー・バン・ミン・ビンズオン省人民委員長らが参加。産官学や約20カ国の外資系企業関係者を含め、参加者は約600人近くに上った。
同マスタープランによると、バリア・ブンタウ省は今後、グリーン分野のパイオニアとして風力・太陽光発電をはじめ、液化天然ガス(LNG)火力発電や水素、アンモニアも含めた取り組みを促進する計画だ。また、国内でも有数のビーチを有する特徴を生かし、観光産業の促進を合わせた海洋経済ハブとしての整備に力を入れていく。同省は深水港のカイメップ・チーバイ港を有しており、ブンタウ市とドンナイ省ビエンホア市を結ぶ環状4号線やフックアン橋などのインフラ開発を引き続き着実に進めていく。さらに、2030年までに中央直轄市に格上げすることや、同省の1人当たりGDPを約1万8,000~1万8,500ドルに引き上げるとの目標を掲げた。なお、2023年の同省1人当たりGDPは8,078ドルで、全国平均4,284.5ドルの約2倍弱に当たる。
同省はホーチミン市中心部から車で約2時間の距離に位置し、日系企業も多く進出するドンナイ省やビンズオン省に対する上流産業の集積地として、これまで石油化学関連企業を中心に発展してきた。ベトナム外国投資庁によると、2024年1~3月の同省への直接投資額は省・市別で7位となっている。
式典では、日系企業の東ソーを含む総額46億ドル超となる15件の国内外企業による投資プロジェクトの投資ライセンスが授与された。主な投資分野は化学分野のほか、製薬、木材加工、製鉄だった。
式典でジェトロ・ホーチミン事務所の松本暢之所長は、同省は国内初となるLNG受け入れターミナルの建設やLNG火力発電による安定した電力供給など、投資環境整備が進んでおり、生産した材料を周辺省の企業へ供給するなど、サプライチェーン形成に向けた投資の拡大が期待されると話した。
投資ライセンスの授与式。左からバリア・ブンタウ省グエン・バン・トー人民委員長、東ソーの木内孝文上席執行役員、同省共産党委員会ファム・ビエット・タイン書記、(バリア・ブンタウ省外務局提供)
ジェトロ・ホーチミン事務所の松本所長のスピーチ(バリア・ブンタウ省外務局提供)
(ダン・ティ・ゴック・スオン)
(ベトナム)
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