インフレ手当は労働協約適用従業員の8割近くに支給、2023年の実質賃金はプラス(ドイツ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月22日 1時50分
ドイツ連邦統計局は3月14日、労働協約が適用されている従業員(注1)に対する物価上昇を踏まえた一時金(インフレ手当)の支給割合を発表した。
ドイツではインフレ対策として、2022年10月末~2024年末の間、3,000ユーロまでの一時金は税と社会保険料が免除となる時限措置が実施されている(2023年1月5日記事参照)。
連邦統計局の発表によると、労働協約が適用されている従業員のうち、2022年10月末~2024年末の間にインフレ手当が支給されたか支給予定の従業員の割合は77.9%で、平均支給総額は2,761ユーロだった(添付資料表参照、注2)。産業別にみると、支給割合が最も高かったのは製造業で96.1%(平均支給総額2,780ユーロ)。支給割合が最も低かったのは宿泊・飲食業で6.3%(2,805ユーロ)だった。
この結果について、専門家は、労働協約が適用される企業の従業員は、夏季休暇手当やクリスマス手当の支給割合が高いこと(2023年11月22日記事参照)と同様に、インフレ手当の支給割合も高いことを示している、と解説した。ただし労働協約が適用されない企業でも、賃金などの決定の際に産業別労働協約に準じることが多い(注3)という(公共放送ARD3月14日)。
また、連邦統計局は2月29日、2023年の名目および実質賃金(注4)の上昇率を発表した(添付資料図参照)。2023年の名目賃金は前年比6.0%、実質賃金は0.1%の上昇。実質賃金がプラスになったのは新型コロナ禍前の2019年以来、4年ぶり。
連邦統計局は、名目賃金の大幅な上昇には、インフレ手当の支給に加え、最低賃金(時給)が2022年10月1日に9.82ユーロから12ユーロへ大幅に引き上げられたこと(2022年3月4日記事参照)が貢献したとした。
(注1)連邦雇用庁付属のドイツ労働市場・職業研究所(IAB)の調査(2023年7月発表)によると、2022年のドイツの労働協約適用率(就業者ベース)は全体で51%。民間部門では45%、公務部門では98%。
(注2)労働協約が適用されない従業員へのインフレ手当の支給割合は発表されていない。
(注3)上述のIABの調査によると、労働協約非適用の民間企業で勤務する従業員(民間部門従業員の55%)のうち、51%の従業員は、当該企業が属する産業の産業別労働協約などの労働協約に準じて賃金などが決定されていた。
(注4)賃金は基本給などの通常の給与のほか、インフレ手当などの各種一時金も含み、税と社会保険料控除前のグロス。
(二片すず)
(ドイツ)
この記事に関連するニュース
-
西バルカン諸国の経済、新型コロナ禍からの回復傾向が続く、世界銀行レポート(西バルカン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月24日 0時20分
-
夏のボーナス予想「民間企業の平均40万8770円」は高い?低い? 研究員がズバリ指摘「喜びも半々、本当はもっと上がるはず」
J-CASTニュース / 2024年4月11日 19時11分
-
2024年成長率予測を0.1%に大幅下方修正、春季合同経済予測(ドイツ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月10日 0時45分
-
2月の個人消費支出、名目所得・消費は前月比増加もインフレの影響が目立つ(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月4日 0時10分
-
スロベニアの2024年の実質GDP成長率予測を2.4%に下方修正(スロベニア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月2日 0時5分
ランキング
-
1米、9460億円の支援表明 対ウクライナ、過去最大規模
共同通信 / 2024年4月27日 9時49分
-
2少数民族の組織、独自に3人処刑 ミャンマー北東部、批判も
共同通信 / 2024年4月27日 16時55分
-
3キューバで死亡のカナダ人、誤ってロシアに埋葬
AFPBB News / 2024年4月27日 14時30分
-
4ロシアで元囚人の帰還兵による凶悪犯罪相次ぐ 2年間で市民100人超死亡
産経ニュース / 2024年4月27日 10時30分
-
5ガザ休戦案で協議か=エジプト代表団がイスラエル入り
時事通信 / 2024年4月26日 23時11分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください