ウクライナの3月の鉄道貨物輸送量、ロシアによる侵攻開始後の月間で最大を記録(ウクライナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月8日 0時45分
ウクライナ地方・国土・インフラ発展省は4月1日、国営ウクライナ鉄道の3月の鉄道貨物輸送量が1,600万トンを記録し、ロシアによる侵攻開始後、最大となったと発表した。輸送量の増加は3カ月連続で、前月に記録した1,450万トンから10%増加した。
ウクライナ鉄道の発表(4月1日)によると、3月の鉄道貨物輸送量は前年同月比で31%増だった。このうち輸出貨物が前年同月比で53.7%増加し、800万トン(うち穀物は320万トン)と半分を占めた。輸入貨物は前年同月比65%増加し、80万8,300トン。国内貨物は前年同月比11%増加し、700万トンだった。
輸送ルート別で見ると、港湾を通じた輸送が530万トン(うち穀物は270万トン)、西部国境を通じた輸送が340万トン(同48万4,000トン)だった。
ウクライナ鉄道のエフヘン・リャシチェンコ会長は「現在、全ての鉄道貨物の3分の1が港湾を通じたもの。海港での取扱量の60%以上を占めており、輸出用の穀物が主な貨物」と述べた。
地方・国土・インフラ発展省は3月29日、2023年8月に開通した臨時海上輸送ルートを通じて、7カ月間で3,380万トンの貨物が輸出され、2022年7月から2023年7月にかけて機能した「黒海穀物イニシアチブ」(注)による輸出量を上回ったと発表した。3,380万トンのうち2,310万トンが農産品だった。貨物は世界40カ国に輸出され、これまでに1,140隻の船舶がこの輸送ルートを利用した。
同省は、オデーサ周辺の港からの輸出量がロシアによる侵攻以前の水準にほぼ達したことを指摘し、ロシアの影響を受けないより効率的な物流ルートを導入できたと述べている。
(注)2022年7月に署名されたウクライナ産穀物輸出に関する合意「黒海穀物イニシアチブ」は、署名3カ国(ウクライナ、ロシア、トルコ)と国連が共同で、ウクライナ産穀物を輸出する船舶の安全な航行を確保することが目的。2023年7月に効力が停止した(2023年7月20日記事参照)。
(柴田哲男、坂口良平、柴田紗英)
(ウクライナ)
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