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セネガルで大統領選挙を延期、緊張が高まる(セネガル)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月7日 15時15分

セネガルのマッキー・サル大統領は2月3日、25日に予定されている大統領選挙を無期限に延期する政令に署名したと国営テレビ放送を通じて発表した。セネガルでは4日に選挙が告示される予定だった。国内では、大統領の声明に対して反発が高まっており、各地で抗議デモが広がっている。大統領選挙の延期は1963年来初めてのこと。

今回の大統領による決定は、与党連合内も含め、野党、市民の間で大きな反発を呼んでいる。2月4日には複数の野党候補者がダカール市内各地で決定に反対するデモを行ったほか、反対派による抗議デモが首都ダカールのほかティエス、ルーガ、リシャトールなど各地に広がった。治安部隊は、催涙ガスでデモ隊を鎮圧しており、野党政治家を含む多数の逮捕者が報告された。当局は、モバイルインターネット接続を切断する措置をとった。

サル大統領は投票延期の理由として、国民議会と憲法評議会の対立を挙げている。憲法評議会は1月20日、過去最多の20人の立候補を承認したが、最有力候補の1人とされ、2023年7月から服役中の労働・論理・博愛のためのセネガル・アフリカ愛国党(PASTEF)のウスマン・ソンコ党首と、アブドゥライ・ワド前大統領(2000〜2012年)の息子であるセネガル民主党(PDS)のカリム・ワド元大臣をはじめ、その他数十人の立候補を却下した。

この決定を不服とするワド氏は、憲法裁判官の公正さに疑問を呈し、選挙の延期を求めるとともに、「被選挙人資格に関する調査委員会の設置」を発案し、国民議会がこれを承認した。与党陣営の一部の議員もこれを支持したことから、与党が大統領選での劣勢を回避するため選挙を延期したのではないか、とする疑念が高まった。

2月3日に大統領が署名した「選挙の延期政令」は4日夜に開かれた議会法律委員会で承認され、5日の本会議で審議・採決される予定だったが、混乱で開始が遅れているほか、同法案の採決を阻止するため国会議事堂前にデモ隊が参集するなど、国内情勢は緊張が高まっている。

フランスをはじめ英国、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、アフリカ連合(AU)など国際社会は、事態の推移に憂慮を示し、民主主義のルールにのっとり、できるだけ早く選挙を実施し、不確実性を取り除くよう対話による解決を促した。

国会での法案採決の行方とともに、憲法評議会の見解が待たれる。

(安藤真由美、渡辺久美子)

(セネガル)

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