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国連のクリーンテック支援プログラム、ナイジェリアの代表選出(ナイジェリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月10日 1時25分

ナイジェリアのラゴス市内でグローバル・クリーンテック・イノベーション・プログラム(GCIP)の表彰式が4月25日に開催された(注1)。このプログラムは、地球環境ファシリティー(GEF)から資金供与を受け、国連工業開発機関(UNIDO)がナイジェリア連邦政府の科学技術革新省(FMSTI)や農村電化庁(REA)、ラゴス発の老舗スタートアップハブのシーシーハブ(CcHUB)との共同プロジェクトとして実施された(注2)。ナイジェリアではクリーンテックのエコシステムは成熟しておらず、技術支援や資金調達、政策的支援がいまだ乏しい状態にある中で、同分野の中小企業やスタートアップの育成を支援することで、同国の2060年までのカーボンニュートラルの実現に寄与することが目的だ。

連邦首都地区を含む全国37州のうち26州から180を超える応募があった中で、表彰式ではファイナリスト10社のイノベーション案件から上位5社が表彰された。上位3人は同国代表として2024年夏にウイーンで予定される世界大会で、ナイジェリアを含む同プログラムの実施国18カ国の起業家らとのピッチコンテストに挑む。なお、国内代表企業の選定には、英国政府のイノベーション促進機関イノベートUKとジェトロが審査員として参画した。

最優秀賞には、クリーンな水へのアクセスに焦点を当てたシュロディンガー・テクノロジーが選出され、賞金1万ドルが贈呈された。同社の製品は太陽光発電を活用したポータブル浄水器で、8リットルの汚水を約90秒で浄化することができ、1台45ドルで提供する。また、最優秀女性起業家賞には、古着や使われなくなった生地を回収し、原材料へ転換するファブリ・スレッド・サイクル・リミテッドが受賞し、5,000ドルの賞金が贈呈された。同社は服飾業界の廃棄物問題に着目し、同業界で循環経済の構築を目指している。このほか、ファイナリストらが提示した社会課題には、スマートメーターを活用した電力会社の検針システムの改善や、太陽光発電で稼働する冷蔵庫を通じたコールドチェーン構築による食品ロスの削減、有機廃棄物を使った安価なバイオ肥料の生産、不安定な電力事情の解決に向けたバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS、注3)を用いた仮想発電所(VPP、注4)の構築など多岐にわたった。

写真 ナイジェリア代表の表彰者たち(ジェトロ撮影)

ナイジェリア代表の表彰者たち(ジェトロ撮影)

写真 式典参加者との集合写真〔Co-Creation Hub(CcHUB)提供〕

式典参加者との集合写真〔Co-Creation Hub(CcHUB)提供〕

(注1)クリーンテックとは、環境への負荷を低減したり、天然資源の環境にやさしい利活用を推進したりする技術を指す。グリーンテックやエコテクノロジーと同様の意味で用いられることもある。

(注2)地球環境ファシリティ-(GEF)は、生物多様性の損失、気候変動、環境汚染問題に取り組むための多国間資金提供機関。日本政府も同基金へ資金拠出を行う。

(注3)バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)は、電力をリチウムイオンバッテリーなどの蓄電池を利用して蓄え、必要な時に電力を供給することで、電力を効率的に管理・利用する技術を指す。

(注4)バーチャルパワープラントの略称。全国各地に点在している太陽光発電などの再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車(EV)のエネルギーリソースを、IoT(モノのインターネット)技術を使って制御し、あたかも大きな1つの発電所のように機能させる仕組み。

(柴田北斗)

(ナイジェリア)

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