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1月の米消費者物価指数、サービス価格高止まりでコア指数は足踏み(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月14日 13時15分

添付資料PDFファイル(196 KB)

米国労働省が213日に発表した1月の消費者物価指数(CPIは前年同月比3.1%上昇と、先月の3.4%上昇から伸びが減速した。他方で、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前月と変わらず、同3.9%上昇と足踏みになった。前月比ではCPI0.3%上昇(前月0.2%上昇)、コア指数は0.4%上昇(前月0.3%上昇)で、いずれも市場予測を上回った。

品目別に前年同月比でみると、エネルギーは4.6%下落(前月2.0%下落)と下落幅が拡大。うちガソリンは6.4%下落(前月1.9%下落)だった。

食料品は2.6%上昇(前月2.7%上昇)、外食は5.1%上昇(前月5.2%上昇)と、いずれも伸びが若干鈍化した。

エネルギーと食料品を除いた財は0.3%下落(前月0.2%上昇)と下落に転じた。内訳では、中古車が15カ月連続のマイナスとなる3.5%減だったほか、新車が0.7%上昇(前月1.0%上昇)、衣料品が0.1%上昇(前月1.0%上昇)と、いずれも上昇幅が縮小した。

他方、サービスは5.4%上昇(前月5.3%上昇)で、財とは対照的にやや上昇幅が拡大した。物価のうち3割のウエートを占める住居費は、前年同月比6.0%上昇(前月6.2%上昇)と小幅に鈍化した。内訳では、帰属家賃(注)は6.2%上昇(前月6.3%上昇)、賃料は6.1%上昇(前月6.5%上昇)と引き続き鈍化した。また、自動車保険など輸送サービスは9.5%上昇(前月9.7%上昇)、医療サービスは0.6%上昇(前月0.5%下落)で、これらを含めた住居費を除くサービス価格は前年同月比3.6%上昇(前月3.4%上昇)だった(添付資料表参照)。

なお、1月は各種項目のウエート付けや、季節調整、中古車価格の算出方法などについて、テクニカルな改定が行われている。ウエートについては、サービスの比重がやや増加し(59.1%から60.9%へと改定)、財と比較して鈍化のペースが遅いサービス価格の動向がより反映される結果となっている。また、中古車については、走行距離に応じた減価償却費が考慮されることとなり、押し下げに寄与する結果となったもようだ。

1月の結果は、エネルギー価格の下落や中古車をはじめとする財価格の低下により、ヘッドラインこそ低下したものの、サービス価格は上昇幅が小幅ながら拡大し、連邦準備制度理事会(FRB)が重視するコア指数は足踏みした。FRB理事の一部はインフレ鈍化の継続のみならず、より広範な分野での鈍化の広がりを期待しているが、今回の結果は引き続きインフレの低下が財に偏っていることを示しており、物価安定目標の達成に向けた確信を持つにはなお不十分な結果だったと考えられる。賃金上昇率の低下はこのところ足踏みしており(2024年2月6日記事参照)、これがサービス価格の高止まりの一因となっているとみられる。住居費については、前月比で見ると、1月も0.6%上昇と前月(0.4%上昇)よりも上昇幅が拡大しているなど、足元ではむしろ加速の傾向すら見られ、今後の動向はなお予断を許さない。また、仮に今後も強い雇用情勢を背景に消費が比較的強く保たれるとすれば、耐久財などの価格も低下トレンドは期待しにくいかもしれない。物価安定目標の2%の達成に向けたラストワンマイルはなお険しい道行きとなりそうだ。

今回の結果を受け、市場の3月利下げへの期待はほぼ消滅したもようだ。

(注)自己が所有する住宅(持ち家住宅)に居住した場合、家賃支払いは発生しないものの、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものと仮定して、それを一般の市場価格で評価したもの。

(加藤翔一)

(米国)

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