「空気を読んで」増加する若者飲酒トラブル、「同調圧力」の危険性
JIJICO / 2015年9月11日 15時0分
「空気を読んで」増加する若者飲酒トラブル、「同調圧力」の危険性
若者の飲酒によるトラブルが後を絶たない
昨今、「若者の〇〇離れ」とよく耳にします。車離れ、たばこ離れ、活字離れ、そしてお酒離れなどなど。しかし、お酒については最近、若者の飲酒によるトラブルが後を絶たないようです。「アルハラ」なる言葉ができたのは比較的最近ですが、無理にアルコールを勧めることに対してハラスメントとして扱われ「アルハラ防止キャンペーン」が展開され、イッキ飲みで大学生の子どもを亡くした親が中心となって設立した「イッキ飲み防止連絡協議会」によるイッキ飲みの問題視などによって、無理やり飲まされるようなことも少なくなったようです。
それなのになぜ、若者の飲酒によるトラブルが後を絶たないかというと、「その場の空気」によって、飲まざるを得ない状況に追い込まれるというのが最近の傾向だそうです。よって、トラブルが起きても周囲に居合わせた人間は、「特にイッキコールなんてしてない。無理に飲ませた覚えはない」という言い逃れができる始末なのです。
集団における心理が「同調圧力」
日本の文化では、白黒はっきりさせること以外にも、グレーゾーンのニュアンスを美徳と考える文化的哲学があります。その一つが「粋(いき)」の哲学です。何事もそうですが、物事は両極面を持ちあわせています。意向を敢えて言葉にしないこと、言葉にせず意向を汲み取る美しさもあれば、「KY」などという単語に込められるような、空気を読まないことを否とする日本独特の文化も存在します。
その集団における心理が、「同調圧力」です。特に、最近の子供たちは人口的少数であるため、義務教育の過程でも、小さなコミュニティーから外れないように振る舞う意識が昔よりも高いのではないでしょうか。
個々が自分の正しさを主張できる意識を持つことが大切
私たち人間は、多くの群れを形成することで、これだけの発展を遂げてきました。「集団」には、生産力の向上や課題の解決など優れた点が多くありますが、落とし穴もあることを忘れてはいけません。
1)楽天的になりやすい
2)少数派を異端とする
3)主張し難くなる
4)集団に対する反対意見を無視しやすくなる
5)意見や意向が一致していることを是と勘違いしてしまう
これは、何も若者に限ったことではなく、企業や宗教団体など、大人の世界でもよくあることなのです。個々が自分の正しいと思ったことを正しいと発信できる「隣の庶民ヒーロー」を、心の中に持つことが大切です。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)
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