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井浦新『おっさんずラブ』のパートナーと大河ドラマで“平安に父子として転生”?!演じ分けの次元が霊媒師レベル

女子SPA! / 2024年3月18日 15時45分

1は、実在した女性スタッフ吉積めぐみが主人公(門脇麦)で、2は若松が名古屋につくったミニシアター・シネマスコーレ(ラテン語で「映画の学校」という名)の支配人・木全(東出昌大)が主人公になっている。

「青春ジャック」では、シネマスコーレを作った若松監督が、木全や、監督の弟子入り希望の予備校生・井上(杉田雷麟)を猛烈なエネルギーで引っ張っていく。令和だったら不適切と注意されてしまいそうな言動もあるが、それが当時の人間関係や作品を濃密にしていたのだろう。すごく熱くて真っ直ぐな青春映画で、井浦演じる若松監督は、若者を導く先生のようだ。

井浦自身、2008年、若松監督作『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』に出演して以降、『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』『キャタピラーCATERPILLAR』『海燕ホテル・ブルー』『千年の愉楽』と若松組の常連となり、監督からたくさんのものを得たはずで、野太く野性的だが知性と教養も十二分に感じる若松監督を、尊敬と愛情を込めて真摯に演じていると感じる。

パート1のときより、若松の役年齢と井浦の実年齢が重なって、皮膚感も近づいてきているようにも見えた。

◆ARATAから井浦新に改名する生真面目さ

井浦がARATAという芸名から井浦新という本名に戻したきっかけも、若松作品である。2012年公開の『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で三島由紀夫を演じたとき、三島を演じた俳優のクレジットがアルファベット表記であることに懸念を感じたとかで、改名した。

ちょうど、同じ12年の大河ドラマ『平清盛』に崇徳院(すとくいん)役で出演し(この役も凄まじかった)、井浦新でクレジットされている。

三島由紀夫に崇徳院、日本の歴史的人物を演じるに当たって最大限の礼儀を尽くす生真面目さも井浦新の素敵なところではないだろうか。そういうところも含めて霊媒師的俳優なのだと思うのだ。

いまの井浦新を形作った若松監督への愛にあふれた映画『青春ジャック』。人は肉体は滅びても、現世で覚えていてもらえる限り生き続けるという。井浦新は若松監督を己の身体のなかで生かし続けているのではないだろうか。

<文/木俣冬>

【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

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