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餃子愛炸裂!異例の大ヒット「ぎょうざが食べたくなる」絵本作家が語るおすすめの名店

週刊女性PRIME / 2024年4月1日 8時0分

玉田美知子さん(たまだ・みちこ)1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞、2022年、第43回講談社絵本新人賞受賞 撮影/渡邉智裕

 物語は、「餃子がいなくなったので捜しています」という町内放送から始まる。放送を聞いたとしおくんはビックリして、なぜいなくなったのか、「水餃子とケンカしたのか」「餃子の故郷に行ったのか」などさまざまに妄想をふくらませていく……というユニークな設定のお話。この斬新な発想は、日常のシーンから生まれたという。

「私の住んでいる地域では日々、防災無線から詐欺の注意喚起や“猿が出没しました”などのお知らせが流れてくるんですね。その中で、“小さい子が迷子になりました”とか“お年寄りがいなくなりました”といった行方不明者の放送を聞くと、心配になると同時に、どんな人かな、何があったのかなと想像をしてしまうんです。そして“無事に見つかりました”という案内を聞いてホッとするんですが、そんなことをきっかけにして、何が逃げ出したら面白いかな、と家族で話している中で生まれたアイデアです

バンド活動の過去も

 普段から、絵本のアイデアは家族との雑談の中から生まれることが多いそう。

5年ほど前に絵本教室に通い始めてから、家族みんなで絵本のアイデアを出し合うのがコミュニケーションになっていて。その中から面白いと思ったものを採用して作ったりしています」

 そもそも玉田さんが絵本作家になりたいと思ったのは中学2年生のころ。

「もともと絵を描くことが好きで、小さいころから絵本も好きだったので漠然と夢見るようになって。それで美術系の大学に進んだんですけれど、一時は夢がそれて音楽に夢中になり、バンド活動をやっていたこともあります

 その後、結婚して子どもが生まれ、子育てが落ち着いたところで、“やりたかったことにもう一度挑戦しよう! ”と一念発起。主婦業の傍ら、創作活動を始める。絵本教室時代には卒業作品がコンペで入選、初応募となった第42回「講談社絵本新人賞」では佳作に入賞と、あっという間に頭角を現し、翌年には本作で新人賞の栄冠を手に入れた。

新人賞を取らないと本が出版できないので、新人賞を目指して頑張ってきたんですが、描いているうちに面白いのかわからなくなってきて……。本当に新人賞なんて取れるの? って思っていたら賞をいただけたので、ちょっと信じられない。いまの状況にもまだ理解が追いつかない感じで自分がいちばんビックリしています(笑)」

「ぎょうざくんは3県のハイブリッド」

 そんな玉田さんが絵本を描くときに大事にしていることは、子どもたちに楽しんでもらうこと。

「何度も読み返してもらえる、読み飽きない絵本にしたいので、1回目に読んだときはわからなかったけれど、2回目に読んだらここにこんなのがある! みたいな細かな仕掛けは、どの作品にも忍ばせたいなと思っています

 本作の主人公は、5つのひだがあるひと口サイズの焼き餃子で、むっちりとした手足が特徴の“ぎょうざくん”。思わず食べたくなる、いや、ひと目で心を奪われるかわいさだ。

「ぎょうざくんのモデルになったお店や商品とかはないんですが、たまたま“餃子の街”である宇都宮、浜松、宮崎に縁があって。私の出身が茨城県で宇都宮に近く、いま私が住んでいる場所は静岡に近く、宮崎には友人が住んでいて何度か訪れていて、3大餃子タウンの餃子を食べているんです。なので、ぎょうざくんは3県のハイブリッドといえるかもしれません(笑)

 作中にもその3大タウンの特色が生かされているので、本の中でそれを探してみるのも楽しい。

 本を開くと、たくさんの餃子の仲間が登場したり、新幹線に乗って旅に出たり、あるものに乗って街中を疾走したりと見ているだけで楽しい光景が広がる。

「たくさんの餃子や上から見た街並みのような細かい描写は、私自身も描いていて楽しかったところです。新幹線の行き先表示板や電柱の看板、トラックのナンバープレートなどには、餃子にちなんだいろいろなアイデアを盛り込んでいるので、そのへんも見どころのひとつです

 本全体のメリハリを出すために、逆に描き込みの少ないページもあえて作った。

「どうしても“間”を埋めたくなっていろいろ描き足してしまうのですが、必要のないものはすべて省いて大胆な構図でシンプルに見せるページも作りました。シンプルなページは構図がうまく決まらないと間が持たないので、そこは難しかったですね」

 本作を出して以降、お取り寄せをしたり、人気店を訪ねたりと餃子を食べる機会が増えて、餃子への愛が深まったという玉田さん。

ぎょうざくんのシリーズ化は?

「餃子って栄養もありますし、食べ飽きません。手作りもおいしいですが、特に冷凍餃子は、疲れていて今日は夕飯の準備をしたくないっていうときにストックしていると便利ですね。まるで餃子の営業みたいですけど(笑)

 ほとばしる餃子愛が止まらない玉田さん。今後、ぎょうざくんのシリーズ化の予定はあるのだろうか。

「次回作の構想を進めている段階です。最近はお友達やご近所さんからも“今度はぎょうざくんが仲間を探して世界へ旅に出るのはどう?”とか、“から揚げやおまんじゅうなど、別の『○○がいなくなりました』シリーズがいいんじゃない?”など、いろいろなネタを提供してくれるようになって……筆が追いつかないですね(笑)」

 さて、3月末からは、絵本がさらに定着することを願って設けられた絵本週間が始まるが……。

「私にとって絵本は、子どものころからそばにあって、折に触れて眺める“心の栄養”のような存在。眺めているだけで楽しくなったり、癒されたり、幸せな気持ちにしてくれます。読者のみなさんも、ぜひ本屋さんに行ってお気に入りの絵本を探したり、このぎょうざの絵本を手に取ってもらえたらうれしいです」

玉田さんおすすめ餃子の名店

「石松餃子」(浜松市)
浜松餃子の元祖で、円形に並べて焼いた餃子に、もやしを添えて食べるのが特徴。「もやしと一緒に食べるとさっぱりしておいしいです」

「宇都宮みんみん」(宇都宮市)
宇都宮餃子を代表する老舗。白菜とキャベツを中心にした野菜多めのあんで、あっさりとした味わい。出身が茨城県で宇都宮に近い玉田さんが太鼓判を押す店。

「餃子の馬渡」(宮崎県)
友人に案内されて行ったという同店。もっちりとコシがある皮が特徴の手作り餃子で、50年以上使い続けている鉄鍋で焼き上げた焼き餃子が名物。

玉田美知子さん(たまだ・みちこ)1977年生まれ、神奈川県在住。多摩美術大学立体デザイン専攻卒業。第21回ピンポイント絵本コンペ入選、第42回講談社絵本新人賞佳作受賞、2022年第43回講談社絵本新人賞受賞

取材・文/荒木睦美

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