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「便秘にズバリ効く」噂のリセットスープ《梅流し》正しく実践すればダイエットの効果も

週刊女性PRIME / 2024年4月2日 6時0分

「便秘にズバ効き」も「正しいやり方」のリセットスープ“梅流し”

 YouTubeやTikTokで目にする、便秘にいいと噂の“梅流し”。作り方や分量などに細かな違いはあるものの、基本的な材料は大根と梅干し、それにだしをとるための昆布という3つの材料だけの手軽さから、実践者も増えている。

“梅流し”とは?

 昆布だしをベースに大根と梅干しを煮て、その汁を飲んだり具を食べたりする民間の食事療法。SNS上では便秘解消に効果があると話題に。断食後の調整食やダイエット目的で行う人も多い。

薬に頼りたくないなら“梅流し”がいい!?

 加藤茶さんの妻、加藤綾菜さん(35歳)もそのひとり。“梅流し”にみそを加えたものをよく作るそうだ。

「つい食べすぎてお腹が苦しい……なんてときに、“梅流し”をリセットスープとして作っています。一日一食を“梅流し”に置き換えるだけで、断食をしなくても効果が期待できます。お腹もスッキリ、便秘も治りますし、お肌もピカピカになりますよ!」

 綾菜さん流のレシピも、とてもシンプル。乾燥昆布(15g)と水(2l)を鍋に入れて火にかけ、沸騰する前に昆布を取り出し、いちょう切りにした大根(1/2本分)を加えてやわらかくなるまで煮る。火を止めてから梅干し(3個程度)をちぎって入れ、器に盛ってからみそ少量を溶かすだけだ。

 別の実践者、女性Aさん(46歳)もその効果を語る。

「平日は便秘になりがちで、市販薬を飲んだりしていました。最初は特に効果を実感できなかったのですが、食べ続けていたら2週間目の早朝に一気に出て(笑)。私には効きすぎるので、今は中止しているほどです」

 手に入りやすい食材で驚きの効果とは……その理由を医師に聞いた。

効果が期待できるのは食物繊維不足の便秘

「便秘にもいくつか種類があり、一般的な便秘は食生活や生活習慣が原因。日本人の大多数は、食物繊維の不足や運動不足で腸の動きが鈍くなることで起きる『弛緩性便秘』だといわれています」

 と、内科医の伊藤大介先生。

 植物性食品に多く含まれる食物繊維は“便のカサ”を増やしたり、腸内環境を整える働きがある。昔の日本人は食物繊維を多くとっていたが、食生活が欧米化されたことで摂取量が減り、便秘に悩む人が増えたと考えられている。

「“梅流し”は、ストレスや便意を我慢したことで起きる便秘では効果が見込めませんが、弛緩性便秘には効果が期待できるのではないでしょうか。材料に食物繊維を含む梅干しと大根を使うので、ダイエットや偏食によって食物繊維をあまりとっていない人には有効と考えられます」(伊藤先生、以下同)

 大根は食物繊維をはじめ消化酵素であるジアスターゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどを含んでいるという。

「食物繊維には2種類あり、大根は便のカサを増やす『不溶性』と、便を軟らかくする『水溶性』の両方を含んでいます。どちらの食物繊維もバランスよくとってほしいのですが、重症の便秘だと不溶性食物繊維ばかりをとると悪化するので注意しましょう。また、だしに使われる昆布には便秘改善に欠かせない水溶性食物繊維『アルギン酸』や『フコイダン』が豊富。だしをとったあとも捨てずに食べたほうがいいですよ」

 加えて、昆布に含まれるマグネシウムにも、腸内の水分を集めて便を軟らかくする働きがある。

「水分が不足すると便が硬くなって便秘になりやすくなるという点からも、“梅流し”で汁まで飲むのは便秘の方にはいいのかもしれませんね」

 健康的な便の水分量は70~80%。水分を含むことで便は腸内をスムーズに移動できるようになり、排出されやすくなるんだそう。

梅干しで便秘が治った研究データも

 日本では古来、さまざまな健康効果があるといわれていた梅。近年、腸の動きを活発にするクエン酸や腸内環境を整える梅ポリフェノール、腸内細菌のエサになって便通を促す乳酸菌、便を軟らかくするマグネシウムなどが含まれていることが科学的にもわかってきた。

「梅干しの便秘に対する検証は多くあります。慢性便秘症の患者さんの排便回数が増え、治療継続率も上がったという論文もあるんです。果肉も残さず食べて」

 梅に含まれる天然の甘味料「ソルビトール」と食物繊維、ポリフェノールの組み合わせによるものだと考えられているそう。

「特にソルビトールは腸の蠕動運動を適度に促すので、よくバリウム検査後、便秘予防のために薬として出されることも。それと同じ成分が含まれているわけですからね」

 “梅流し”の効果的な実践法としては空腹時にとること、と伊藤先生は語る。

「朝食の1食を“梅流し”に置き換えるぐらいがベスト。栄養バランスがとれた食事をとったうえで実践してほしいですね。便秘改善の目的以外では肉や炭水化物を食べすぎてしまったときや、お腹がもたれやすかったり、生活習慣病が気になる人のリセット習慣にもおすすめです」

 さらに“梅流し”を食べたあとは身体を動かすと、より効果が期待できる。

「運動不足や筋力低下も便秘の一因になっていますし、軽い運動でも筋肉を動かすことは腸へのいい刺激になります。ひと駅歩いたり、エレベーターではなく階段を使うだけでもOKです」

梅の便秘や腸に関する論文・梅干しで便秘が改善

 便秘の人に梅干しを食事と共に、またはオオバコを水と共に、それぞれ1日2回(食物繊維=1日6g)、交互に3週間ずつ摂取してもらったところ、梅干しのときに排便回数が増えて、便が軟らかくなった。

便の量が増え、腸内環境が整う

マウスに梅を40日間与えたところ、そうでないマウスと比べて便が増量。さらに梅をとっていたマウスは腸内細菌の悪玉菌が減り、善玉菌が増えた。

自分に合った方法で生活に取り入れて

 ただし、医師としてダイエット目的での“梅流し”はすすめられないそう。

「これだけを食べるような食生活では栄養バランスが悪く、体調を崩す原因になりますし、便のモトになる食物繊維も十分とはいえません」

 また、SNSでは「宿便が出る」という話もあるが、解剖をした場合でも宿便が見つかったことはないそうだ。

「食事をしなくても便が出るのは、古くなった腸の粘膜などがあるせいです。大腸には便が1~2kg程度あるのが普通で、その水分が少しずつ吸収され、固まって排出される。それを無理に出すことに意味はありません」

 なお持病のある人が“梅流し”を続ける場合は、材料の選び方に注意が必要だ。

「最近の梅干しにはさまざまな種類があり、塩分だけでなく糖分が多いものも。健康な人ならそこまで気にする必要はありませんが、塩分が多いものは血圧が高めの人は避けるべき。また、はちみつなどで甘くした梅干しは、糖尿病の方にはおすすめできないので、よく吟味して購入してください」

 昆布のだしを使っているので、甲状腺機能低下症がある場合は昆布に含まれるヨードをとりすぎて、甲状腺の機能低下が進むおそれがある。

「継続して食べても問題はないのか、事前に担当医に相談を。その上で、とる回数を減らしたり、かつおなど別のだしなどにかえたほうがいいでしょう」

梅流しの効果を高める3大ポイント

一般的に、空腹時にとると効果的な梅流し。便秘がつらいとき、続けるために理想的な方法を教えてもらった。

・塩分少なめ、かつ甘みのない梅干しを選ぶ
・だしをとった昆布も水溶性食物繊維なので食べる
・朝食などの1食に置き換え、その後、運動で腸を刺激する

「弛緩性便秘」とは?

大腸の蠕動運動が低下し、腸の中に便がたまること。日本人に多いタイプの便秘で、食物繊維や水分の不足、腹筋力の低下が原因で起きる。主に高齢者や若い女性に多い。

教えてくれたのは伊藤大介先生
医師。一之江駅前ひまわり医院院長。内科と皮膚科を中心に、便秘診療や生活習慣病も含めて多くの患者の治療にあたっており、「かかりつけ医」として高い信頼を得ている。

<取材・文/宇野美貴子>

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