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“辛いもの”の食べ過ぎで「痔」になるの? “要注意食材”を消化器病専門医が解説

オトナンサー / 2024年4月8日 7時10分

辛いものの食べ過ぎで痔になるって本当?

 多くの日本人が発症しているといわれる「痔(じ)」ですが、原因の一つとして「辛い物の食べ過ぎ」が指摘されています。実際に辛い物を食べ過ぎると「痔」になるのは、本当なのでしょうか。過剰摂取により、痔を発症する可能性がある食べ物などについて、「まきこ胃と大腸の消化器・内視鏡クリニック」(京都市伏見区)院長で、消化器病専門医の船越真木子さんに聞きました。

■「不溶性食物繊維」が便秘を引き起こし、痔の原因となることも

Q.辛い食べ物を食べ過ぎると、「痔」になるといわれていますが、本当なのでしょうか。理由も含めて、教えてください。

船越さん「辛いものを食べたからといって、必ずしも痔になるわけではありません。ただし、食べ過ぎると、痔を発症する確率が上がると言えます。その理由は次の通りです」

(1)辛いものが「肛門上皮」を刺激する
コショウやトウガラシなどの刺激物は、消化されないまま肛門を通過します。肛門の上皮は唇と同様、「扁平(へんぺい)上皮」という薄い粘膜に覆われており、刺激物が肛門を通過する際にこの粘膜を直接刺激するため、ピリピリします。唇が荒れているときのように、もともと肛門上皮に傷があると、痛みを強く感じたり、場合によっては出血したりすることもあります。

(2)辛いもので便通に異常をきたす
「辛いものを食べると下痢をする」という人がしばしばいらっしゃいます。痔の中でも「痔核(いぼ痔)」と呼ばれるものは、肛門周囲にある細かい血管のネットワークである「静脈叢(じょうみゃくそう)」に血液がうっ滞して、腫れることが原因で起こります。

便秘や下痢によって肛門周囲にうっ滞が起これば、痔の症状が悪化します。また、「裂肛(切れ痔)」も、勢いよく下痢が出たり、排便時に便秘でいきんだりすることによって起こる可能性があります。

Q.痔の発症をできるだけ防ぐために、辛い食べ物を食べた後はどのような取り組みが有効なのでしょうか。

船越さん「まず、肛門上皮の刺激による痔を防ぐためには、物理的な防御が有効と考えられます。つまり、肛門を保護することです。白色ワセリンやアズノールなどの粘膜保護剤を1日数回、肛門に塗り込んでおけば、刺激を低減できるでしょう。

また便通異常が生じると分かっていながら、辛い食べ物を食べてしまった場合、多少のあきらめも必要かもしれません。その場合は次の予防法を実践してみてください」

・便秘や下痢になっても、強くいきまない。排便は長くても3分以内に済ませること。
・排便後はやさしく肛門を拭く。温水洗浄便座の使用は3秒以内に済ませること。
・寒い時期は腰回りを冷やさないように重ね着をし、カイロやレッグウォーマーを活用する。
・15分ごとにストレッチをする。また、入浴時は湯船につかり、血行を促進させる。

それでも肛門が腫れたり、切れたりしてしまったら、早めに肛門科を受診して、薬を処方してもらいましょう。肛門が腫れた状態や切れた状態のまま我慢してしまうと、痔が悪化したり、肛門の外側に切れ痔の一種である「見張りイボ」が生じてしまったりすることがあります。

Q.痔の発症を防ぐ上で控えた方がよい食べ物はありますか。

船越さん「摂取することで便秘や下痢を引き起こしやすい食べ物は、できるだけ控えてください。七味唐辛子やコショウ、辛みスパイスなどの刺激物も自身の体調を見ながら摂取していただきたいと思います。

便秘になりやすいものとしては、食物繊維が少ない食品です。精製された小麦粉や米、菓子類は食物繊維が少なく、食べ過ぎは好ましくありません。また、豆腐や牛乳、肉類などは健康志向により、多めに摂取する人が多いと思いますが、タンパク質が多い反面、食物繊維は少ないのが現状です。食物繊維の観点から見ると、これらの食品の取り過ぎは良くないと言えます。

ここで注意してほしいのは、『食物繊維を取り過ぎると、便秘が悪化することがある』という事実です。もともと便秘ぎみの人は、便を出す運動である『腸のぜん動運動』が低下しているケースが多くあります。ぜん動運動が低下した腸に大量の『不溶性』食物繊維が入ると、腸の中で時間がたつにつれて便が固まってしまい、便秘の悪化を招きます。

『不溶性』食物繊維とは水に溶けない食物繊維で、大豆や玄米、小松菜、キャベツ、サツマイモ、タケノコなどに多く含まれます。程よい量の摂取は便秘の解消にも役立つほか、少量でも満腹感が出やすいため、ダイエットにも役立つといわれています。何事もやり過ぎると良くありません。不溶性食物繊維の取り過ぎには気を付けてください。

一方、水に溶ける『水溶性』食物繊維は、ワカメといったヌルヌル、ネバネバとした食品に多く含まれます。水溶性食物繊維には海藻類に含まれるアルギン酸ナトリウムのほか、タマネギに多く含まれるイヌリン、ミカンに含まれるペクチンなど、さまざまな種類があります。これらは便秘を解消するだけでなく、胆汁酸という脂肪の消化液に働き、『コレステロールの低下に役立つ』『血糖値を安定させる』などの働きを持っています。

下痢になりやすいものとしてはアルコール飲料のほか、乳製品に含まれる乳糖、即席ラーメンに含まれているかんすい、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノール、ネギやニンニクに含まれるアリシンなどが挙げられます。

ご自身で下痢になると気付かずに摂取している場合もあるため、下痢をしやすい人は一度、食事内容を見直してみることが大切です。傷んでしまった腸粘膜の修復には、鶏や豚、牛などの骨を使って作る『ボーンブロススープ』がお勧めです」

オトナンサー編集部

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