「ギャン泣き不可避」「トラウマになる」 移住から10年、地域のために働く便利屋が「鬼」になったワケ
Jタウンネット / 2024年2月10日 11時0分
2月3日、節分。子供が見たら大泣き間違いなしの「鬼」が新潟県十日町市に現れた。
全身真っ赤で、目玉が飛び出ていて、角が2本生えた鬼が、玄関にいる。
手に持っているのは何だろう。妙に躍動感があって判然としないが、何だろうと怖い。叩かれたらメチャ痛そうだ。
鬼の写真を投稿したのは新潟県十日町市でゲストハウス「お松の家」を運営する、のんこ(@nonsananonenone)さん。2月5日に投稿された写真には2万3000件以上のリポスト、18万件を超えるいいね(7日時点)のほか、次のような声が寄せられている。
「子供見たら大泣きだろな」
「これはギャン泣き不可避」
「トラウマになるわ笑」
鬼が内に、入ってきちゃったのだろうか。この後、どうなったのだろうか。Jタウンネット記者は6日、投稿者・のんこさんを取材した。
鬼の名は...
話題の鬼が撮影されたのは、投稿者・のんこさんが住む地域の一般家庭だ。
そこには、2歳の男の子と小学校5年生の女の子が居たという。
「2歳の息子さんには刺激が強すぎたようで、ひとしきり泣き叫び、最後は『バイバイまたね』と言ってましたが、恐怖が振り切れたようで鬼が帰った後、放心で1時間程震えてたそうです」(のんこさん)
逆に女の子は嬉々として豆代わりのカラーボールをバシバシ投げ付け、「今までで一番楽しい節分だった」と言っていたんだとか。
え? 何故のんこさんがそんなに詳しく知っているのかって? それは、彼女が写真とともに投稿した呟きを見ればわかる。
「地域の方に依頼されて鬼役やった旦那怖すぎだろ」
そう、鬼はのんこさんの夫、松山雄太さんの"扮装"なのである。
なぜ雄太さんは鬼となり、よそのお家に入っていったのか? 記者が尋ねると、のんこさんは2年前の記憶を語り始めた。
始まりは突然のひとこと
「豆まきやりたいから鬼やって!」
のんこさんは2年前のその日、夫。雄太さんに突然そう言った。
そして雄太さんはリクエストに応え、鬼になりきってパンツ一丁になり、日本酒の一升瓶を片手に玄関から入ってきたという。
なんという神対応......ならぬ鬼対応! なお、この時はノーメイクだったが、1年後にはこうなっていた。
鬼になることを気に入り、メイクもバッチリ、小道具もバッチリ用意した雄太さん。鬼の姿で自宅で豆まきしたり、地元の放課後児童クラブ、知人が宿泊していた宿にも出張したそうだ。
そして、雄太さんの鬼を見た地域の人が言った。「ウチにも来て貰おう」。
子供たちに「鬼は怖いものだ!」と思わせるような"本気の節分"をしたいと考えたその人が、雄太さんに依頼。話題の写真は、その時の光景だ。
鬼は内からやって来た!?
雄太さんとのんこさんは新潟県十日町市に住む夫婦。雄太さんは地域の為の便利屋さん「お松の手」の経営者。長崎県出身で、この街に移住してきて、10年目を迎える。
そんな彼は「根がまじめ」。鬼の扮装にも、本気で取り組んでいる。
例えば、鬼が出てくるまでの演出を考える。台本も考える。鬼の起源や意味なんかを調べて、鬼についての知識を深めたりもした。
鬼は外からでなく、まずは内から形作られていたのだ。すごい役者魂である。
その後、外側の番。不要な毛を剃り、全身に保湿クリームを塗り込み、安いスプレーを全身に吹き付ける。パンツを履き、事前に作っておいた角や爪を瞬間接着剤で直付け(!)する。半分に切って穴を開けたピンポン玉を、目元にハメる。
......これを実際に実行するには、結構な覚悟がいるはずだ。しかも、2月の新潟である。パンツ一丁で寒くないわけがない。
大丈夫なのか? のんこさんに聞くと、こう答えた。
「人並みには寒いけれども、鬼役を演じきる為に寒さを無視しているそうです」
この鬼だけは、内に入れてあげたいものだ。
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