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【未解決事件の闇】伊勢女性編集者失踪事件のこれまでを総括する

TABLO / 2014年12月4日 17時0分

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特別寄稿:伊勢女性編集者失踪事件のこれまでを総括する

 伊勢の出版社に勤務していた辻出紀子さんの行方がわからなくなってから、16年が経った。事件当日の11月24日、現場近くのショッピングセンターでは、辻出さんの両親が情報提供を呼びかけるビラ配りを今年も行い、配ったチラシは約4500枚にのぼったという。訪れたマスコミに対し、辻出紀子さんの父である、泰晴さんは次のように語り、苦しい胸の内を明かしている。

「帰って来ないとは思いますけど、何らかの形で答えが出ないと、私たちは年を取るだけで。取材に来て頂いて、風化させないというのは意味があると思う」(ANNのウェブサイトより)

 また一年がたってしまったことを突きつけられ、筆者は忸怩たる思いを抱いた。

◇◇◇

 辻出紀子さん失踪事件についての記事は前回で11回という節目を迎えた。16年が経ったことでもあるし、このあたりで一度、これまでに書いたことを総括してみたい。

 1回と2回で、事件の簡単な経緯や最後に会ったという重要人物Xについて簡単に紹介した。3回以降は、降って湧いた北朝鮮拉致説、「売春島」監禁説、そしてタイ難民キャンプへの逃避行説について、本人が残した文面を調べたり、現場を取材したりして、真相を探ってみた。

 北朝鮮の拉致については荒唐無稽な話だと思っている。特定失踪者問題調査会の人たちが失踪者のリストに載せたり、産経新聞が拉致の可能性をほのめかすような記事を書いてはいる。しかし、彼らの主張は人づてによる間接的な情報であったりしてどれも信憑性に欠けるように思えた。

 例えば、調査会の関係者が、彼女が北朝鮮に行ったことを証拠づけるものとして、辻出さんが残したメーリングリストに残したメールのことを挙げている。そのメーリングリストは筆者も加入していた。しかもその管理人とは友人関係であったので、頼んで過去ログを取り寄せて、その文面をすべて洗ってみた。証拠だと主張するメールは、彼女が単に悪のりして「北朝鮮に行きたい」と書いているだけで、彼女自身が行く手段を模索したり、回りのメンバーが彼女に抜け道的な特別な渡航方法を教えたり、といった書き込みはどこにも見当たらなかった。

 調査会の人がいう「Xが北の工作員に引き渡した」という説も、全然裏を取らず、推理した内容を都合良く組み合わせて、そうに違いないと思い込んでいるだけ、というのが真相であった。そんなわけなので、三重県内の現地調査においても、拉致の形跡はまったく見つけられなかった。

「売春島」での監禁に関しては、島からの脱出は実に簡単だということ、店で客の相手をしながら存在そのものを隠し通そうにも島が小さすぎることから、もしいれば間違いなく明るみになっているに違いない。というか、そもそもが2ちゃんねるがソースなのだ。「売春島」に監禁された可能性はない。

 さらに、難民キャンプに関しては、関係者自体見つけられなかった。それに彼女のパスポートを保有する母の美千代さんの話によると、事件当日、海外に出た形跡はないとのことだから、飛んだ無駄足だったことになる。

 もともと確信はしていたが、辻出さんが最後に会ったXがやはり怪しいと筆者は思っている。しかし彼のことは警察が事件発生1カ月後からマークし、別件で逮捕し、連日取り調べてもなお、落とせなかったのだ。だからこそ警察のような組織力も、資金力も、捜査特権もない僕が一人で事件を解決できるとは思えない。とはいえ何もせず、手をこまねいているわけにはいかない。

 ということで、今後はXに対する捜査の状況について調べたり、関係者に会いに行ったりして、事件の真相に迫っていった経緯を書いてみようと思う。今までにのべ26000人の捜査員を動員した事件だから、何か簡単に真相がわかるとは思えないが、だからといって何もせず、手をこまねいているわけにはいかない。

Written Photo by 西牟田靖

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