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山根明会長辞任 警察関係者をして「話し方はまるでヤクザそのもの」と言わしめた"人間臭さ"|久田将義

TABLO / 2018年8月8日 16時59分


「思わず笑ってしまいました。あの話し方はヤクザそのものです」とマル暴(暴力団担当刑事)は苦笑いしました。アマチュアボクシングング界のドン・山根明氏について、です。

 山根氏に関しては、現在は不正流用ではなく、ヤクザとの付き合いに衆目が集まっています。
 元山口組組長が山根氏が「組員だった」と発言したという報道がありました。警察は現役ヤクザの在籍確認は取れるのですが、「元組員」は取れるのか。5年在籍していたら記録が残ると言われていますが、1回在籍したら残るという警察官もいます。
 いくつかの情報がありますが山根明氏は僕の取材範囲では、今のところですが、在籍確認は取れていません。が、警察からすれば「周辺交際者」でしょう。

 現在、警察はヤクザとスポーツ界・芸能界とのつながりについて、非常に気を遣っています。

 2011年に暴力団排除条例が全国で施行されてから、ヤクザの取り締まりは本当に厳しくなりました。特に芸能界とヤクザの関係は芸能界側が非常に警戒しました。ヤクザ側も距離を取っていくようになりました――という背景があります。

 山根会長はこう吠えていました。

「ボクシングだけ何でそんな事言うんだ。ほかの競技は反社会との付き合いはないのか。差別ではないか」 

 これは本音でしょう。興行とは少なからずヤクザとの付き合いがあります。以前、大相撲名古屋場所で升席に山口組の人間がずらりと並んで、収監中の六代目山口組司組長の「応援」が話題になりました。野球もそうでした。戦後、「仁義なき戦い」では広島球場の警護をめぐって争いが起きました。

 ボクシングはどうでしょう。「あしたのジョー」では矢吹丈は少年院上がりの不良少年です。「愚連隊の神様」と言われた万年東一はボクシングジム(拳闘倶楽部)を創設しました。プロレスも同様です。全日本プロレス協会には三代目山口組田岡組長が理事に就いていました。

 とは言え、前記したとおり暴排条例と暴対法により、つながりは減ってきました。現在はかなりクリーンになっています。にもかかわらず、山根明氏のように前記の丸暴の刑事が「話し方がヤクザ」と称する人物がアマチュアボクシングのトップに立っている事に恐らく、世間は驚いたはずです。
 
 プロボクシング関係者に聞くと、

「それはまだある事はあります。最近ある有名なボクシングジムの会長に挨拶に行ったらヤクザそのまんまでした。でもかなりキレイになりましたけどね」

 が、そういうアウトローにはアウトローの妙な魅力があるものです。ヤクザをテーマに小説や映画が製作されるのも、人間くさいからでしょう。

 山根氏のある行動にその人間くささが表れていました。テレビ番組のインタビューの際、山根氏がリポーターに向かってカンロ飴を差し出しました。リポーターから「大阪のおじちゃんみたいですね」と言われた時にちらりと見せた照れ笑い。これは昭和の政治家やヤクザが時折見せる「人間くささ」です。「隙」といっても良いでしょう。これよって、周囲は「やられて」しまうケースがままあります。「かわいげ」と称する事も出来るかも知れません。ワンマン経営のトップやコワモテの政治家にも共通します。

 とは言え、その「かわいげ」を感じるのは現在はスルーしてよいでしょう。何と言っても、疑惑の判定(奈良判定という言葉は奈良の選手に気の毒なので使いません)を支持した音声を聞いて、高校・大学・社会人のボクシング選手はどう感じたのでしょう。やり切れない気持ちになったに違いないのは、僕も高校時代ラグビー部でしたから分かります。審判がそういう判定をしたら、怒りに震えたでしょう。こんな事がまかり通ってきた根は深いと言わざるを得ません。

 アマチュアボクシングの浄化はボクシング関係者の皆さんが行うのが筋ですが、もはやこれは政府が手を入れてもよい時期なのかも知れません。(文◎久田将義)

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