オジの「昔ワルかった自慢」に要注意 客を見かけで判断してはけいない理由
TABLO / 2025年1月11日 18時0分
「何でもアリ」の街、歌舞伎町。
東京・歌舞伎町のある親分に取材した際「毎日、どこかで喧嘩は起きている。私ら、上の者が話し合いで止めているだけです」と聞いて「日常茶飯事なのか」と改めて思った次第です。
その、歌舞伎町で体験したエピソードを書いてみたいと思います。近年、飲み会が少なくなったとは言え、繁華街では人の流れも多くなってきました。居酒屋、バー、キャバクラ、スナックで飲む機会もあると思います。そういう時、隣の人に少し気を付けてみてください――。
歌舞伎町のとある居酒屋に取材の後、その「アウトロー氏」と入ってみました。ほろ酔い気分になった時間帯。常連の客(50歳くらい)が「俺は昔、暴走族だった」とこちらに向けて語りだしました。「昔オレ悪かった自慢か」と聞き流していました。なので、和気あいあいとした雰囲気の飲み会のような感じになりました。僕も普通に、彼らと受け答えをしていました。
と、急に僕の隣に座っていた「アウトロー氏」の雰囲気が変わりました。今までは愛想よく受け答えしていたのに。少し沈黙した後。
「おう、ちょっと待て。お前今何言ったんだ」
顔色が変わっています。人間、酔うと顔が赤くなる人と変わらない人がいます。その人はむしろ変わらないというより青白い顔色に変化していました。これって結構不気味です。
その、自称元暴走族の常連客が何事か言いかえしてきました。多分、どこかの組織の名前を出したと記憶しています。逆効果です。
「お前、俺に何言ったんだ、ああ!?」
「アウトロー氏」が立ち上がってしまいました。
瞬間、箸を手にしていました。箸を逆さまに持ち替えました。相手に向かって振りかざした時、
彼の腰を抑え「いやいや、ちょっと座りましょう」と必死に止めました。
常連客の身の危険を案じたのもありますが、こんな事で事件に巻き込まれたくないというのが本音です。
けれど、店主もイケイケで「やっちゃっていいよ」などと言っています。この人もがっつり刺青が入っていました。見かけは普通の居酒屋店主でしたが――。
それにしても確かに常連客の態度は上から目線で感じが悪かったです。「アウトロー」は当初は
「堅気と上手く付き合うのも器量」
と言っていましたが、そこは「アウトロー氏」の気質は変わりません。服装も振る舞いも、普通に話していればその筋の人間には見えないのです。しかしどんなに大人しい恰好をしていても、大人しい対応をしていても一線を越えたらその本性が出ます。
僕は店主に「そんな事言わずに」と言いましたが「大丈夫。やらせとけばいいんですよ」とタバコをふかしています。その間も「お前、○○一家の名前出してたな、本部長に電話するからちょっと待ってろ」と「アウトロー氏」が僕に腰を抑えられながら電話しだしています。
「ええ、今そちらの人とモメとるんですわ。だから本部長にご迷惑をおかけしするかもしれないんで」などと交渉をしています。
大体、この常連客も悪いだろ。僕はそう思い、怒りが湧いてきました。「騙ってんじゃねえよ」と。で、常連客に説教しました。
「そもそも、あなたも調子に乗ってどこそこのチームにいたんだ。とか、『お前』とか言ってたでしょ。あなたも悪いですよ」と強い口調で言いました。しかし常連客はぶつぶつ言うのみで歩みよりません。
「お前、いい加減にしろよ!」と「アウトロー氏」の怒号が再び飛びました。
僕も余計に腹が立ってきました。止めているこっちの身にもなれよ、と。
「一言、話せばすむでしょうが。いい大人が絡んで。早く店から出て行って下さいよ」(抑えるの大変なんだから)。
結局、店主にも「いい加減にしろ」と怒鳴られて、常連客は出ていく事になりました。ほっとしました。
「もうちょっと飲んでいく?」と店主。
「いただきます。気分悪いので飲み直しですわ」と「アウトロー」氏。もうテンションが収まっています。
このテンションの上げ下げが上手いのがこの世界の人の常です。僕も経験したが「殺すぞ」と言われた翌日にその人間と会った時には「どうも昨日は」などと普通の挨拶をしてくる人もいます。
組織の人間は怖い。だからこそ、こちらからは踏み込まないようにします。なまじっか「昔悪かったんだけど」とか調子に乗ると今回のようなちょっとした騒動になります。それにしても本当に偉そうにしている人はロクなのがいませんね。人は見かけで判断してはいけない例を出してみました。そして「昔ワルかった自慢」も言ってもメリットはありません。気を付けましょう。(文@久田将義)
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