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西成にも東京五輪バブルが?「原発作業と同じで何も期待していない」

TABLO / 2013年10月19日 20時0分

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 東京オリンピックの誘致決定で今後、建設業界は忙しくなるだろう。今でも現場仕事が中心の西成の住民はどう考えているのか。

 2011年、東北被災によって原発作業などにもかなりの人手が必要だったが、当初は西成界隈で東北に出稼ぎに行った人間は意外と少なかった。

 それはなぜか?

 多くの人間が地元大阪では人手が足りなくなり、賃金が高騰するだろうと考えていたのだ。しかしその目論見は見事に外れ、大阪では仕事も増えずに人手も有り余った。その後、東北の被災地では人件費が高騰し、仙台の国分町は日本でもっとも景気の良い繁華街になった。そこから大きく出遅れて原発作業に行くものが増えた。その出遅れ組の労働者が証言する。

「最初、聞いた話では条件が良かった。でも実際は、日当13000円で寮費が1日3000円、飯代が1000円、行きは高速バスで帰りは自費。大手の下請けだと大きい寮に入れて寮費がかなり安くなるけど、下請けの下請けとかそれ以下の会社だと駄目だな。わしらのとこに回って来る仕事で、条件のいい仕事は絶対にない。オリンピック関連だろうと、同じこと。期待なんてしてないよ」

 西成で手配される仕事はほとんどが日払いの力仕事で、日給8000~9000円。そして帰りの交通費は自腹。遠くの現場だとかなりの出費である。しかし、このような条件の仕事でも、「あいりんセンター」界隈に朝の3時頃から並ばないとありつけない。まっとうな手配業者の場合は、「あいりんセンター」を通して労働者を集めるが、路上で労働者を集める人夫出しは、センターに登録していない業者がほとんだ。

 これが名古屋だと1000円ほど日当が上がり、東京だとそれよりも1000円が上乗せされる。そして西成から名古屋や東京に向かう労働者が気にするのは、まずは「寮」について。近所に酒を売ってる店がないところは敬遠される。そんな場合、寮が売るビールを買うことにになるのだが、缶ビール1本で1000円というぼったくり価格も珍しくない。

 西成の住民が朝3時に、そのまま現場作業に就けるように作業着を着て、安全靴まで履いて張り切って出掛けても、仕事にありつけない人間は毎日かなりの数に上る。

 そして、これは労働者を集める立場の手配師も同様だ。彼らは人を集めるのが仕事だが、それと同時に、まともに働ける人間を見極める能力も求められている。要は使えない労働者ばかりを集める手配師も簡単に使い捨てられるのだ。こういった厳しい環境は年々色濃くなっている。ある老手配師はこうつぶやいた。

「オリンピック関連で大型規模の工事が続いても、俺たちのような手配師の仕事が楽になるわけじゃない。人手が足りなくなったら、なったで俺たちにかかるプレッシャーが強くなるだけ。手配師だって大変なんだよ」

Written Photo by 西郷正興

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