パチンコ、雀荘、ポーカー、地下カジノ...日本の賭博(ギャンブル)基礎知識編:1

TABLO / 2013年10月16日 18時0分

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※この記事は、日刊ナックルズ勝手に編集会議(http://ch.nicovideo.jp/ndo)での松本和彦氏の発言を編集したものです。 

―― 今日のテーマはパチンコ問題ということですが、まず基礎編として "遊技" と "賭博" の違いとはなんでしょう?

「賭博(ギャンブル・博打)の定義ってわかるかい? 簡単に言うと、未来が予測できない事に対して、見返りを求めて自分の財産を賭ける行為を賭博というんだ。競馬や競輪は投票券を買う事はできても、レースの結果にまでは干渉できないだろう? 日本ではそうした賭博行為は原則として違法。ただし競馬・競輪・競艇・オートレースの通称3競オートは、特例法で公営ギャンブルとして認められている。なんで特例法が作られたかというと、戦後復興の資金集めを目的としていたんだ。また、パチンコは風営法で賭博ではなく遊技だとされている。よくパチンコを遊戯と書くヤツがいるけど、あれは大間違い。正しくは遊技で、風営法に定められた7号営業だから、雀荘とかと同じくくりになっている。ちなみにゲームセンターなどは8号営業。射幸心を煽る可能性はあるけれども、7号に入らない業態が8号だと思えばいい」

※補足:風俗営業の種類

1号営業 キャバレー(キャバレー等の客への接客のある営業)

2号営業 料理店・社交飲食店(待合、料理店、カフェ等 / 1号営業店は除く)

3号営業 ダンス飲食店(ナイトクラブ、ディスコ等 / 1号営業店は除く)

4号営業 ダンスホール等(ダンスホール等)

5号営業 低照度飲食店(照明が10ルクス以下の飲食店で1~3号に入らない営業)

6号営業 区画飲食店(ネットカフェ等の狭い個室を提供する営業)

7号営業 マージャン店、パチンコ店等(客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業)

8号営業 ゲームセンター等(客の射幸心をそそる可能性はあるが7号に入らない営業)

 ◇

――そういえば雀荘もしくは雀荘で行われている賭け麻雀は賭博には入りませんか?

「厳密に言うとアウトだよな。リャンピンくらいから厳しくなる印象はあるけれども、点5だろうとピンだろうと、金銭を賭けたらダメ。だから雀荘の看板には "風速" とか暗号みたいな書き方でフリーのレートを書いてあるだろ? セットでやる場合は仲間内で決める事だからさておき。そもそもさ、法律を見ると一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる場合はOKとあるので、負けたら食事を奢るとか、お茶菓子を賭けるとか、そういう範囲なら合法だって話なんだ」

――ああ、昔はよくチョコレートやタバコを賭けるとか言い訳しましたよね。

「いや、タバコはタバコでダメなんだ。専売法に引っ掛かるからというのもあるけど、大昔のパチンコ屋は賞品(景品)としてタバコを出してたんだ。金やレコード針じゃなく。そしたらタバコの買取屋というのをヤクザ者が始めてしまい、資金源になってしまった。いわば3店方式のモデルだな。ちなみにそれが何でやられたかというと、さっき言った専売法違反なんだよ。今もタバコが景品にあるけど、あれは等価(定価)だろ? だから今でも400円分の価値のあるタバコを200円で買い取って、店で定価で売るなんて事をしたらアウトだよ」 

――ところで遊技と言いますが、パチンコやスロットに技術介入の要素ってありますか? 年々その要素がなくなる一方だと思うのですが。

「パチンコはハンドルを自分で回すだろ? それによって狙い目を変えて図柄がよく回るようにするとか、出玉を増やすとかできるじゃん? スロットも自分でストップボタンを押すだろ? それによってちゃんと目押しができましたね、効率よくコインを獲得できましたね、っていうのが技術だと看做されるんだ。だからさ、ハンドルの固定打ちや店員に目押しを頼む行為は本来ならばヤっちゃいけないんだ。それをやると遊技じゃないだろと言われてしまうから、今は店によっては厳しく対処するところもあるよ」 

――宝くじはどうなります?

「宝くじは賭博とは別の法があって、富くじ法(賭博及び富くじに関する罪)の範疇だね。お寺でやってたくじ引きなんかが起源だと思う」

※補足:最古の記録は鎌倉時代の文献にあり、その頃は御札などの景品が貰えたようだ。それが江戸時代頃になると金銭に代わり、収益はお寺の修理費用などにあてられていたらしい。

 ◇

――富くじと賭博の違いってなんでしょう?

「富くじと賭博というか、法で許される賭博と許されない賭博と考えた方がいいかもな。厳密に言うと例外が出る可能性はあるけど、法で認められている賭博や富くじは、胴元(主催者)が絶対に損をしないんだ。それに対して、例えば地下カジノ(違法)の場合は出目やカード次第で胴元が損をする可能性がある」

――胴元が損をしない方が許されるって妙ですね。

「それがグレーゾーンの苦しい言い訳で、胴元が絶対に損をしないのだから賭博ではないという変なロジックを振りかざす人が法の専門家なんかにもいる。賭博って、その場にいる全員にリスクがあるという前提なんだよ。ただ、違法賭博でアゲられた場合は全然話が変わってくるよ? ハナから違法賭博の場合は、リスクなく儲けてたヤツの罪が一番重くなるから、やってたゲームの種類によって罪の重さが変わったりする」

――もう少し詳しくお願いできますか?

「さっき話題に出た雀荘なんか、実は何かあった場合は店側が被るリスクがえらい大きいんだぞ? 裏でやってるポーカー屋なんかの方が軽いくらい。地下系の賭博でも、ポーカーとバカラでは罪の重さが違うんだ。賭博開帳図利(賭博場を開いて利益を図った)罪と言って、主に賭博の胴元に適用され、3カ月以上5年以下の懲役。早い話が場代(寺銭)を取るだけで、胴元が絶対に損をしない形で賭け事をさせてると看做されるとコレになる。雀荘やバカラはこっちになってしまうんだよ。ところがポーカー屋なんかの場合は、胴元が損をする可能性もあるので常習賭博罪なんかになる。これだと3年以下の懲役。常習じゃないと認めて貰えれば50万円以下の罰金。1時間300円の場代を取ってる雀荘も、儲けた金の1割を寺銭に取るような賭博の胴元も、罪状自体は賭博開帳図利で同じになるんだ。ちなみに野球・サッカー賭博をメールのやり取りだけでやってたとしても賭博開帳図利が適用される。物理的に集合しなくても、寺銭を取るシステムだとダメ。でもポーカーやブラックジャックとバカラでバカラの方が重いってのはおかしいけどな」 

――売春防止法なんかにも似てますね。

「同じ! 売防もラブホテルの経営者の罪が妙に重かったりするよな。場所を提供する事で損をせず利益を得ているわけじゃん? すると賭博開帳図利と同じような考え方で、実際にやってる当事者達よりも罪が重くなるんだ。売防の場合は 【出資者・場所の提供者・管理者 >>>(超えられない壁) >>> 嬢・客】 って感じだな。ラブホのオヤジが直接その管理売春に関わっていなかったとしても、知ってて場所を提供してるのがバレたら同じくらいの罪に問われる」

――世の中のグレーゾーンと法律ってのは面倒臭いですね。

「法律と言えばさ、少し話が脱線するけど、国税庁が発表してる業種別の脱税件数ランキングって知ってるかい? それのトップ3に常に名前が挙がってるのがパチンコ屋なんだよ。不動の1位がバーとかクラブなんかの水商売で」

――近頃は世相を反映してか産廃業者とかリサイクル業者の脱税が増えてるんですよね。

「でもさ、これだけ不況だとか、パチンコ屋が斜陽だとか言われててもな、1件あたりの金額だとパチンコ屋がダントツの1位なんだぞ。あちこちで好き勝手に "抜ける" じゃん。それくらいモヤモヤした部分の多い業種なんだ。その極めつけが3店方式なんだけれども、この苦しいシステムの本当の欠陥に気付いている人間って、どうも少ないようなんだよ」

 次回は本丸のあまり指摘されない3店方式の本当の欠陥について解説します。反パチンコを訴える人達が必ず目を付けるのが3店方式なのですが、果たして本当の欠陥に気付いている人がどれだけいるでしょう?

Written by 荒井禎雄

Photo by Paul Martin Eldridge

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