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なぜ四駆にこだわる? スバル・三菱が独自の4WD技術に力を入れ続ける理由

くるまのニュース / 2019年4月9日 7時10分

4月9日は四駆の日です。四輪に駆動力を伝えて走行する駆動方式ですが、国産メーカーでスバルと三菱が四駆性能にこだわる理由は、どのようなところにあるのでしょうか。

■水平対向と左右対称のAWDシステムによって安定した走行が可能に

 毎年4月9日は「四駆の日」。自動車メーカー各社もツイッターなどで「#四駆の日」とし、情報を発信しています。四駆とは四輪に駆動力を伝えて走行する駆動方式ですが、国産自動車メーカーのスバルと三菱はとくに四駆性能にこだわっています。その理由は、どのようなところにあるのでしょうか。

 スバルは、1972年には量産乗用車として初めて「レオーネ」にAWDを設定するなど、四駆の先駆者として歴史があります。

 2018年暦年のスバルのAWD車の販売比率は、国内では87.4%(OEMモデルは除く)、世界では98%と、AWD車の販売比率が非常に高いのです。

 国内のラインナップでは、ダイハツからOEM供給を受ける小型車、軽自動車とトヨタ「86」と兄弟車の「BRZ」、「インプレッサ」はAWDに加えてFFも用意していますが、それ以外のすべてのモデルが全車AWDであることを考えると、スバルの四駆率が高い理由もうなずけます。

 また、スバルの日本国内の登録車シェアは2.90%ですが(スバル調べ:2018年9月時点)、東北地方でのスバル車のシェアは3.62%と全国平均に比べて高くなっており、これは豪雪地域での信頼性の高さを物語っているといえます。

 スバルのAWDは、水平対向エンジンと、左右対称の構造をした「シンメトリカルAWD」を組み合わせた独自の四駆技術により、低重心で前後左右のバランスに優れたパワートレインを実現。四輪に適切に荷重がかかるため、どんな道でも安定感のある走行を可能にしています。

 さらに、車種ごとに複数のAWDシステムを用意しているのも特徴です。

 たとえば、「アクティブトルクスプリットAWD」を搭載した「インプレッサ」「XV」「フォレスター」「レヴォーグ(1.6リッター)」では燃費と安定性を重視し、「DCCD方式AWD」を採用した「WRX STI(MT)」では操る楽しさを追求するなど、各モデルのキャラクターに合わせてきめ細やかに設定できるよう、4種類のAWDシステムを使い分けています。

■安全を最優先させることを目的とし、四駆性能に磨きをかける

 SUVモデルのフォレスター、XV、レガシィアウトバックでは、「X-MODE(エックスモード)」と呼ばれる悪路走破性をより高める機能も備わり、深い雪やぬかるみなどにはまっても、四輪の駆動力やブレーキなどをコントロールすることで容易に脱出することができます。

悪路を走行するスバル「フォレスター」

 スバルでは、四駆にこだわる理由を次のように説明します。

「安全を最優先させることを目的とし、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDを組み合わせて操縦安定性を図っています。

 操縦安定性が高いということは事故などの危険回避性能が高いということであり、その結果、ハンドリング性能が良くてスポーティで楽しい走りを実現しました。

 また、水平対向エンジンとAWDの安定性だけでなく、運転支援システム『アイサイト』の全車標準搭載や視界の良さなども含めて、総合安全性能を重視しています」

■チーターのように大地を俊敏に駆け回るために4本足を駆使

 対する三菱は、「パジェロ」に代表される本格的なオフロード車が知られていますが、1987年に発売された「ギャランVR-4」より、四輪運動制御技術の開発コンセプトとして「AWC(オール・ホイール・コントロール)」を取り入れました。

三菱「パジェロ」

 AWCとは四輪制御の技術開発コンセプト(思想)の名称で、大地を俊敏に駆け回るチーターのように4本の足(タイヤ)を駆使することをイメージしています。四輪のタイヤ能力をバランスよく最大限発揮させ、あらゆる路面でドライバーの思い通りにアクセル・ハンドル・ブレーキ操作し、意のままの操縦性と卓越した安定性を実現するという考え方です。

 この「AWC」は、2007年の「ランサーエボリューション X」からは「S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)」に進化します。

 S-AWCは、AWCコンセプトを実現する車両運動統合制御システムの名称で、前後駆動力配分(4WD)と左右トルクベクタリング(AYC)、四輪ブレーキ制御(ABS&ASC)の3つのサブシステムを統合制御することで、どんな状況でもドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現。誰もが安心して気持ち良くドライブできることを可能にしました。

■「ランサーエボリューション」の魂は現在のモデルに引き継がれている

 現在ではランエボの販売は終了していますが、そのNDAは「アウトランダー/アウトランダーPHEV」や「エクリプスクロス」に受け継がれています。

 他社の四駆システムには負けないポイントとして、三菱は次のように説明します。

「S-AWC搭載車もそうではない車も含めて、三菱自動車の4WDは常時四輪に十分な駆動力を伝達しているので、日常ユースでは圧雪路や積雪路、路面の荒れた舗装路など、どんなところを走ってもドライバーが路面と対話しながら安心快適に走ることができます。

 さらに安全な場所で積極的に走りを楽しもうと思ったときには、高いパフォーマンスを実現するようなクルマ作りを日々行っています」

※ ※ ※

 スバルでは、雪やダートなど、さまざまな条件下で走行するラリーを、AWD性能の実証の場としているといいます。また、三菱ではAWCの技術開発コンセプトに基づく成果が、パジェロのパリダカでの活躍やランサーエボリューションのWRCでの活躍にもつながり、三菱らしさを物語る上での重要なアイテムであるといえます。

 スバルと三菱は、かつてラリーではライバルとしてしのぎを削っていましたが、そこで培われた技術が今日に受け継がれているのです。

 スバルも三菱も、国内でのシェアは決して高いメーカーではありませんが、どちらも四駆性能という強みに磨きをかけて、独自の路線を貫いているといえそうです。

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