セダン市場の復活はある? イケメン過ぎるセダンはなぜ増加したのか
くるまのニュース / 2020年6月2日 7時10分
近年、新車市場にはスタイリッシュなセダンが多く発売されています。他のボディタイプと比べ地味な印象も強かったセダンですが、大きく変わりました。いったいなぜ、スタイリッシュなセダンは増えたのでしょうか。
■カッコいいセダンが増加? その理由とは
近年発売されるセダンの外観を見ると、多くのモデルがスタイリッシュなデザインを採用しています。他のボディタイプと比べ地味な印象も強かったセダンですが、大きく変化しました。
なぜ、最近のセダンにはスポーティかつスタイリッシュなデザインのモデルが多いのでしょうか。
直近で発売されたセダンをいくつか振り返ると、2020年2月にフルモデルチェンジされたホンダ「アコード」は、クーペライクなデザインを採用したことによりボディ全体がスポーティな印象となっているほか、フロントフェイスも一新。
メッキ加飾を効果的に施している点は継承しているものの、より洗練された印象です。
そして、2019年9月には日産「スカイライン」がビッグマイナーチェンジを受けて登場。運転支援システム「プロパイロット2.0」の採用が大きなニュースとなりましたが、あわせてフェイスリフトもおこなわれ、「GT-R」のような顔つきになりました。
また、トヨタのミドルクラスセダンである「カムリ」も、2017年に発売された現行モデルはトヨタの独自デザイン「キーンルック」を強調したフロントフェイスとして先代から大きくイメージチェンジ。低いベルトラインにより、タイヤの存在感を強調し、低重心感を表現しています。
さらに2018年にはスポーティ感を強調したグレード「WS」を追加設定しました。
なぜ、近年のセダンはスポーティなデザインのモデルが多いのでしょうか。その背景には、自社のセダンユーザーの若返りを狙いたいメーカーの思惑があるようです。
カムリのチーフエンジニアは、「2017年に発売したカムリについて、若者に購入してほしいと考え企画しました。年齢層としては、30代後半から40代前半の方に購入していただけたらと思い開発しました」と説明します。
また、カムリに限らず前述のアコード、スカイラインなどもすべてロングセラーモデルとなっているため、新たなユーザー層の掘り起こしが必要になったということです。
では、デザインを変更したことで、どのような変化が出ているのでしょうか。
発売から約8か月が経過したスカイラインですが、発売後の受注データによると比較的若い世代にも好評で、とくに高性能グレード「400R」の購入者は40代が3割近くを占めており、20代・30代の若い世代の比率もほかのグレードより高いといいます。
50代以上が多いといわれるセダンの高級車ですが、若返りに成功しているといえるでしょう。
また、カムリについても、前述のチーフエンジニアは次のように説明します。
「(発売直後は)先代カムリからの乗り換えが多く、年齢層は50代後半の方が占めている状況でした。一方、2018年に追加したカムリ WSについては、先行受注で予想より若い20代や30代の方々にもご購入いただいていることに正直、ビックリしています」
発売からまだ間もないアコードも、ユーザーの年齢層に違いが出てくるのか注目されます。
■生産技術の向上もスタイリッシュなデザインに貢献
スタイリッシュなセダンが増加する背景には、別の要素もあるようです。大手自動車メーカーの開発担当者は、次のように話します。
「最近のクルマのデザインがシャープになった要因として、プレス加工技術や生産技術の向上が挙げられます。それにより、これまでは製品化出来なかったようなデザインが量産できるようになったのです」
これはセダンに限った話ではないものの、デザイナーが思い描いたイメージを量産車にする過程で重要なポイントといえます。
ホンダ「アコード」
また、前述のアコードのシャープな造形について、アコードのデザイン担当者は次のように話します。
「新型アコードの伸びやかなキャラクターラインは、水平基調を基にシャープなエッジで構成されています。この丸みは7R(アール)と呼ばれる、ホンダのプレス技術のなかで一番小さいRを用いています。
トランクのリップスポイラー形状は、開発当初では出来なかったプレス加工技術を新型アコードのために、新しい技術を採用することで作り上げています。これら細部を作り上げることで、洗練されたデザインに仕上がりました」
※ ※ ※
セダンは近年人気の高いカテゴリとはいえず、ミニバンやコンパクトカーなどに押されている状況です。しかし、スタイリッシュなセダンが街に増加していくことで、セダン復権もあり得るのかもしれません。
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