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街乗りメインのSUVは2WDが売れ筋!? SUVなのに4WDが不要になった訳

くるまのニュース / 2020年7月29日 7時10分

昨今人気のSUVですが、悪路走破性の高い4WDよりも2WDが売れ筋となっています。また、車種によっては2WDしか設定されないこともありますが、それは一体なぜなのでしょうか。

■大半のSUVは2WDが販売の主力に

 最近はSUVの人気が高く、新型車が続々と登場しています。日産は2020年6月にコンパクトSUVの「キックス」を発売して、2週間で8000台を受注しました。

 日産の販売店はキックスについて次のようにいいます。

「キックスは人気が高く、7月下旬に契約しても、納車は年末です。ボディカラーやグレードの選び方によっては、2021年1月になる可能性もあります。タイの工場で生産される輸入車なので、仕様によっては納期が長いです」

 そこまで人気の高いキックスですが、SUVなのに4WDは設定されていません。北米仕様なども前輪駆動の2WDのみです。

 SUVは悪路の走破を目的としたオフロード4WDから発展した経緯があり、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)も高いです。

 キックスの最低地上高も170mmなので、ハッチバックやセダンを上回り、悪路のデコボコを乗り越えやすいですが、それでも駆動方式は舗装路向けの2WDのみになります。

 日産がキックスの前に販売していたコンパクトSUVの「ジューク」も、売れ筋の1.5リッターエンジン搭載車は2WDのみでしたが、1.6リッターターボでは4WDも選べました。

 トヨタ「C-HR」は、1.2リッターターボには4WDを設定していますが、ハイブリッドは2WDのみです。

 同じプラットフォームを使う「プリウス」や「カローラセダン/ツーリング」のハイブリッドでは、後輪をモーターで駆動するE-Fourを選べますが、C-HRのハイブリッドでは選べません。

 SUVの開発者に、駆動方式について尋ねると「4WDは車両の性格に応じて設定しています。2WDのみの車種やグレードでも、市場のニーズが高まれば4WDを追加できます」と説明しました。

 そこでSUVが採用する駆動方式の販売比率をメーカーに尋ねると、大半の車種では2WDのほうが多いです。

 トヨタ「ライズ」の場合、2WDが70%以上を占めており、4WDは30%以下。ホンダ「ヴェゼル」なども2WDを中心にした売れ方です。

 販売店からは、「SUVでも大半の車種が2WDを中心に生産されるので、4WDを選ぶとメーカーオプションなどの組み合わせによっては納期が長くなります」という話も聞かれます。

■若い世代を中心に人気を博すコンパクトSUV

 いまではSUVでも2WDが売れ筋のカテゴリになりましたが、これは日常的な移動に使うユーザーが増えたからです。

 これにともない、林道や雪道を走る、いわゆるレジャーカーとして使われる比率は下がり、相対的に4WDも減りました。

ハイブリッドは2WDのみのトヨタ「C-HR」ハイブリッドは2WDのみのトヨタ「C-HR」

 販売店からは、SUVの購入動機について次のような話が聞かれます。

「背の高いSUVは後席や荷室も広く、ボディがコンパクトでも、ファミリーカーとして使えます。新しいカテゴリだから、比較的若いお客さまも多いです。そこでメーカーや販売会社も力を入れており、駆動方式はあまり関係ありません」

 日産は、「コンパクトSUV市場では、全体の25%を20代から30代のお客様が占めます」といいます。ライズも40歳未満のユーザーが全体の23%なので、コンパクトSUVは、将来も自社製品を買い続けてくれる有望な顧客の多いカテゴリです。

 40歳未満のユーザーは、1980年代から1990年代前半に流行したオフロード4WDの日産「テラノ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」についてほとんど覚えていません。「最低地上高の高いSUVのボディを活用できるのは4WD車」という考え方は、もはや過去のものになりました。

 価格の問題もあるでしょう。4WDは、小型/普通車の場合で、2WDに比べると20万円から25万円高くなります。

 最近は安全装備の充実などによって車両価格が全般的に高まり、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールや後方の並走車両を検知できる装備などがオプション設定されることも多いです。

 雪道や悪路を頻繁に走るユーザーを除くと、4WDシステムよりも、これらの運転支援機能や安全装備を優先させるでしょう。

 また4WDの燃費数値は、2WDに比べて8%から10%悪化することが多いです。

 こういった事情もあり、最近は4WDに消極的なSUVが増えました。見方を変えれば、コンパクトカーやミニバンと同様に、SUVが普及した結果ともいえるでしょう。

 その一方で、トヨタ「RAV4」は大半のグレードが4WD、スズキ「ジムニー」は4WDのみの採用ですが、両車とも好調に売れています。

 RAV4では、2リッターガソリンを搭載した「アドベンチャー」と「G・Zパッケージ」は、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させる「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載して、機敏に良く曲がる運転感覚が人気を得ました。

 ジムニーは悪路で駆動力を高める副変速機を装着して、走破力は抜群に高いです。

 このように走りやメカニズムに分かりやすい明確な個性を持たせたSUVであれば、4WDが中心の構成でも売れ行きを伸ばします。

 単に4輪を駆動するだけでなく、SUVとしての付加価値のある4WDシステムが人気を集めるようになったというわけです。

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