コロナ禍で長距離バスは安全? 運休相次ぎ悲鳴続出 対策に追われるバス業界の現状
くるまのニュース / 2020年9月7日 7時10分
コロナ禍における状況下での長距離バスの運休が相次ぐなかで、バス会社各社はさまざまな感染予防を実施しています。では、3密が懸念される長距離バスの利用状況は、現在どうなっているのでしょうか。
■コロナ禍のバス移動はあり?なし? 利用状況をバス会社に聞いてみた!
コロナの終息がいまだ見えない状況のなか、長距離バスの利用状況にも大きな影響が出ています。
密室空間で複数の人と移動をするため、感染リスクを懸念するユーザーも多いようですが、果たしてコロナ禍による長距離バス利用は問題ないのでしょうか。
近年、新型コロナウイルスの影響により、これまでとは異なる旅行の形が求められる時代となりました。
移動手段として利用される長距離バスに対しても、ユーザーの意識や利用状況に変化があらわれているようです。
2020年6月に実施された調査では、コロナ禍の長距離バスの利用頻度について、約8割以上のユーザーが「利用回数が減っている」と回答。
反対に「増えている」と回答したのは1%を下回っており、コロナ流行後の長距離バス利用を避けている人が多いことが分かります。
利用回数が減った理由については、もっとも多い回答が「緊急事態宣言によるもの」で、次に、「バス乗車への不安、感染予防」など、狭い車内での感染リスクを恐れる声が目立ちました。
また、長時間にわたって密が避けられない状況に対して、不安を抱いているユーザーも多いことがわかっています。
このほかにも、「ライブ、イベント、テーマパークの中止・休園」、「長距離バスの運休・運行本数減少」、「出張減、会社の指示」などがあげられました。
感染への不安によって利用を避けている一方で、高速バスに乗りたくても乗れない状況であったことも利用回数が減少している要因のひとつとしてあげられます。
また、次回利用時期についての回答では、約4割のユーザーは「分からない」と回答しています。コロナ終息の見通しが立たないなかで長距離バス利用再開を決めるのは、難しいと考える人が多いようです。
なお、具体的な時期を回答したユーザーは、2020年7月から8月のタイミングに集中していることが分かりました。コロナ禍による長距離バスの移動が懸念されるなかでも、7月から8月の連休に向けて長距離バスの利用を検討しているユーザーが数多くいたことがわかります。
では、実際のところ7月の連休や8月お盆時期の利用状況はどうなっていたのでしょうか。JR関東バスの担当者は、次のように話します。
「現在、コロナの影響により数多くの路線で運休が多発している状況です。
今年の7月連休および8月のお盆期間中も運休しており、例年と状況が大きく異なります。このように、バスの便が大幅に減っていることから、利用客もかなり減少している状態です。
このままでは、経営への影響が続いてしまうので、お客さまが安全に長距離バスを利用していただけるよう徹底した感染対策に取り組んでいます。
その結果、徐々に利用客が増えてくることを祈っております。また、世の中の状況をみながら運行計画も立ててまいります」
また、高速バス・夜行バス・深夜バスの運行をおこなうVIPライナーの担当者は、次のように話します。
「今年の春からバスの便が大幅に運休しており、7月や8月のお盆などの連休に関係なく大きく利用客が減少しています。
そのため、去年とは比べようがない状態です。運行再開に関する見通しも立っておらず、年内いっぱいはこの状況が続くことも多いに考えられます。
一部、運行をおこなっている便については、世の中で一般的に取り組まれている感染対策を導入しています。主に、従業員およびお客さまへのマスク着用を呼びかけ、消毒液の配備、運行後の座席除菌などをおこなっています」
※ ※ ※
各バス会社ではコロナ対策に向けて徹底した感染予防に取り組んでおり、長距離バスによる移動であっても感染リスクを最小限に押さえているようです。
ただし、大幅な運休措置が取られていることから、去年に比べて利用客は大幅に減少している状況です。
前述のアンケート調査では、7月から8月にかけて長距離バス利用の再開を試みるユーザーが多かったなか、「乗りたいけど乗れない状況」であることも分かりました。
■コロナ禍での長距離バスの感染対策
コロナの影響によって各バス会社で大幅な運休が発生するなか、一部の路線では通常どおり運行している便もあります。
こうした状況下での運行にあたり、前出のJR関東バスの担当者は、「お客さまおよび従業員に向けて徹底した感染対策に取り組んでいる」と話していました。
主な対策としては、さまざまな分野で実施されている「マスクの着用」、「検温実施」、「手指の消毒」、「車内空調での換気」、「フィジカル・ディスタンス(身体的距離)確保」といったものが挙げられます。
コロナ前のバスターミナルは人で溢れ返っていたが、最近では閑散としている
また、長距離バスならではの対策としては、乗務員とのフィジカルディスタンスを確保するため、利用客自身が「トランクへの荷物の積み込み」をおこなう方法に変更しているほか、夜行バスなどでブランケット(毛布)の貸し出しサービスを一時中止しています。
さらに、車内空調については、運行中のバス車内を換気するため、外気導入での運転を心がけているようです。
また、高速バス車両で3パターンの換気テストをおこなったところ、いずれも4分程度で完全に換気できることが証明されています。
※ ※ ※
コロナの影響で長距離バスの利用に不安を感じる人が多いなか、各バス会社では徹底した感染対策に取り組んでいることが分かりました。
しかし、現在も数多くの路線で運休が発生しており、通常通りの運行状況に戻る見通しは立っていません。そのため、長距離バスに乗りたくても乗れない事態になっています。
今後、「withコロナ」の時代に向けた世の中の動きに合わせて、長距離バスの運行も変化していくのでしょうか。
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