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なぜか新車購入が増える? ホンダが「中古車サブスク」を強化する理由とは

くるまのニュース / 2020年9月24日 15時40分

ホンダは、サブスクリプションサービス「ホンダマンスリーオーナー」の展開エリアを全国に拡大することを明らかにしました。すでに展開している店舗のユーザー層は少し意外なものだったといいますが、いったいどのような特徴があったのでしょうか。

■計画通り全国展開へ

 ホンダは、認定中古車を使ったサブスクリプションサービス(以下、サブスク)「ホンダマンスリーオーナー」を全国展開することを明らかにしました。

 2020年1月28日から「U-Select 城北」(埼玉県和光市)の1店舗で運用してきましたが、「どのようなお客様のニーズがあるのか検証でき、ある程度のニーズと事業性を確認できたので、当初計画通り実施エリアの拡大を判断しました」(ホンダ)といいます。

 いったい、どのようなユーザー層が利用しているのでしょうか。

 拡大するエリアは、2020年9月10日から、U-Select名西(愛知県名古屋市)、U-Select半田(愛知県半田市)、U-Select尾張一宮(愛知県稲沢市)、U-Select豊橋(愛知県豊橋市)の4店舗とし、2020年中には北海道、宮城県、群馬県、神奈川県、大阪府、岡山県、福岡県へと全国に輪を広げます。

 U-Select城北では会員数が約1000人に達する人気で、ホンダによると「当初より、U-Select城北の次のステップとして、主要都市の(本田技研工業の)連結販売会社への展開を予定していました」といいます。

「ホンダマンスリーオーナー」はその名の通り、マンスリー契約ですが、契約時に利用期間を決めず、最短1か月から最長で11か月まで、いつでも解約できるのが特徴です。

 支払いはクレジットカードを使うので、ローン契約のような審査もありません。

 一般的なクルマのサブスクと同じく、税金、メインテナンス費用、自動車保険など込々での毎月定額支払いとなります。

 対象のクルマは、「N-BOX」「N-VAN」「フィット」「フリード」「ヴェゼル」「S660」、さらに福祉車両もあり、最安値の「N-BOX」では月々の支払額が2万9800円です。

 ホンダは「お客様目線で検討し、できる限りお求めやすい料金として最低金額3万円以下を意識しました」といいます。ただし、利用月数×1000kmを超えると1kmあたり6円の追加料金がかかります。
 
 クルマのサブスクといえば、トヨタによる新車サブスク「KINTO」があります。有名タレントによるテレビCMなどでお馴染みだと思います。

 一方、ホンダはなぜ新車ではなく、中古車サブスクなのでしょうか。

 この点についてホンダは「中古車は新車と異なり、中古車在庫というすでにある資産を有効活用でき、(新車に比べて)より手頃な価格設定が可能ためです」との見解を示しています。

 逆に、中古車を使うことのデメリットについては「とくに感じることはありませんが、強いて挙げるなら、中古車であることを気にされる方には不向きな面もあるかもしれません」と率直な意見も述べています。

 また近い将来について、新車サブスク、またバイクなどのサブスク展開の可能性については「社会環境やお客様のニーズの変化を踏まえて、さまざまな検討をおこなっていますが、(現時点では)決まったものはありません」との回答でした。

■少し意外? ホンダ中古車サブスクのユーザー層とは

 さて今回、ホンダマンスリーオーナーが全国展開に至るに際し、先行して実施したU-Select城北でのユーザーアンケートを見て、筆者(桃田健史)は少し驚きました。

 主な利用目的でもっとも多かったのが、「買い替え検討を目的とした試乗」だったからです。回答者数の44%を占めます。

 以下、「通勤・単身赴任」19%、「ウインタースポーツ・キャンプなど趣味」17%、「送迎」13%、「通院」10%と続きます。また、コロナ禍で交通公共機関の利用を控える動きがあり、その受け皿としても注目されています。

 この「買い替え検討」とは、中古車だけではなく、新車も含まれ、実際にホンダマンスリーオーナー体験を経て、新車購入に至ったケースがすでに数件あるそうです。

ホンダの「ホンダマンスリーオーナー」ウェブサイト(画像:ホンダ公式ウェブサイト)ホンダの「ホンダマンスリーオーナー」ウェブサイト(画像:ホンダ公式ウェブサイト)

 一般的にサブスクは、「所有から利用」という消費行動の変化を象徴するビジネスモデルだといわれています。

 ところが、ホンダマンスリーオーナーの場合、「所有から、一時的な利用を経て、また所有」というサイクルが生まれていることが、とても興味深いと思います。

 カーシェアの場合でも、最大手のタイムズによると「会員解約の理由のなかの一定数が、カーシェアでクルマの乗る機会が増えたら、所有する方が便利だと思いはじめ、クルマを買った」という報告があります。

 では今後、自動車メーカー主導型での中古車・新車サブスクは、通常の販売形態と併存できるのでしょうか。

 この点についてホンダは次のように考えているとコメントします。

「併存できると考えています。利用目的として、購入検討のための試乗が多いです。購入検討車が、家の車庫に入るか、家の前の狭い道を問題なく通れるか、キャンプ道具は積めるかなど、通常の販売店での試乗では体験できない検討の仕方ができるからです。

 通常の営業形態ではリーチすることが難しい、潜在検討層や、クルマ離れ層の方の利用が多いことも分かっています。そうしたお客さまから、(もともとは)所有するという選択肢がなかったが、クルマがある生活の便利さを気づいた、という声も頂いています」

※ ※ ※

 ホンダとしては中古車サブスクをきっかけとして、自銘他銘を問わずより多くの人が「クルマを所有しようかな」という気持ちの変化が生まれることは、自動車業界全体にプラス効果になると考えています。

 ホンダマンスリーオーナーは、サブスクの隠れた可能性を浮き彫りにしたようです。

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