なぜアルファードは勝ち組に? ライバル勢がマイチェンで対抗! 高級ミニバンに変化あり?
くるまのニュース / 2020年10月6日 10時10分
トヨタ「アルファード」は2020年に入ってから怒涛の販売台数を記録し、高級ミニバンながらランキングTOP10の常連となりました。なぜアルファードは一強を築けているのでしょうか。
■なぜ? アルファード一強のワケとは
日本自動車販売協会連合会(以下:自販連)の2020年8月販売台数ランキング(トップ50)では、トヨタ「アルファード」は7103台を記録し、普通車のなかで6位となっています。
一方の兄弟車となる「ヴェルファイア」は、同月36位の1226台、ライバルとなるホンダ「オデッセイ」は47位の571台、日産「エルグランド」は圏外という結果ですが、なぜこれほどまでにアルファードが一強になったのでしょうか。
初代アルファードが登場してから、2020年で18年が経っており、2015年からは3代目となる現行モデルが販売されている歴史あるモデルです。
現在の高級ミニバンと称されるジャンルは、1997年に日産が初代エルグランドを発売したことから始まります。
初代エルグランドは、日本における高級ミニバンというジャンル開拓したことで、それまでのミニバンとは異なる高級感のあるデザインや快適な居住性などが人気を博したことから、トヨタやホンダもその対抗馬の開発に追われました。
その後2002年に、初代アルファードが登場。当初は「アルファードG」と「アルファードV」というふたつのモデルで展開。Gはトヨペット店、Vはトヨタビスタ店(現ネッツ店)で販売され、のちにVはアルファードの姉妹車「ヴェルファイア」として販売されます。
販売された2002年の販売台数は約5万3000台を記録。ライバル車であるエルグランドを上回る結果とったほか、翌2003年には2.4リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車が追加されたことで、販売台数は約8万4000台を突破し、エルグランドに5万台近い差をつけました。
一方のオデッセイは、1994年に発売された初代モデルがトヨタ「エスティマ」とともに日本でのミニバンジャンルを確立したモデルです。
その後、前述のエルグランドやアルファードが登場したことで、ホンダも高級ミニバンの「エリシオン」を2004年に投入。クルーザーのラウンジをモチーフにデザインされたともいわれる豪華な内装が特徴的で、外観のデザイン、居住性、快適性、走行性能が評価されましたが、2013年に国内販売を終了しています。
そして、現行モデルとなる5代目オデッセイは、エリシオンと統合する形で登場。先代よりも低床化したほか、歴代オデッセイとして初の両側スライドドアを採用するなど、高級ミニバンとしてのポジションを築いてきました。
このような形で高級ミニバンジャンルが成熟してきていましたが、昨今ではアルファードが一人勝ちしている状況が続いているのです。
これまでのアルファードのランキングは、2018年前半は20位半ばから10位台後半と推移。2019年は秋まで15位前後と高級ミニバンのなかでは大差で売れているのは変わらないものの、徐々に順位を上げていました。
そして状況が一変するのが、2020年からです。直近の販売動向を見ると1月から3月では10位から15位、4月に6位、5月6月が5位、7月8月6位とコロナ禍でも5000台から7000台と好調を維持しています。
アルファードの販売動向について、トヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「アルファードは元々同クラスのミニバンでも人気や注目度が高いモデルです。さらには、毎年商品改良がおこなわれ、商品力に磨きを掛けています。
とくに、2017年のマイナーチェンジでは外観デザインを大幅に変更したことが功を奏した結果、販売面でさらに売れ行きが上がりました。
また、近年の傾向としてはそれまで同じトヨタもしくは他社のミドルサイズミニバンや上級なセダンに乗っていたお客さまがアルファードに乗り換えることが多くなったように感じます。
同様に法人でも、これまではクラウンを要望されるお客さまが多かったですが、最近ではアルファードを役員クラスの社用車として検討される割合が多くなったことも、アルファード人気の要因だと思います」
また、アルファードの人気は今後も続くと、別の販売店スタッフは次のように話します。
「2020年5月から全店舗でアルファードが扱えることになったので、以前よりも購入のハードルが低くなりました。
あと、まだ定かではありませんがトヨタブランドのラインナップを整理していることが明らかになっており、先日『ルーミー/タンク』がルーミーに一本化されたことを皮切りに、アルファード/ヴェルファイアもアルファードに一本化されれば、どちらにするかお客さまは悩むことも無くなり、益々アルファードの販売台数が伸びるのではないでしょうか」
※ ※ ※
現時点で、アルファード/ヴェルファイアの統合に関する話は噂程度の情報ですが、販売店スタッフのいうとおり、ルーミー/タンクが2020年9月15日のマイナーチェンジで統合したことで、ほかの兄弟車も統合されるのは確実だといえます。
その一方で、エルグランドとオデッセイはそれぞれ2020年秋にマイナーチェンジをアナウンス。ともに、先行ティザーサイトにて、外観デザインや機能面の変更点を公開しています。
このマイナーチェンジが一強となったアルファードにどれほど影響があるのか、注目せずにはいられません。
■エルグランド、オデッセイそれぞれマイナーチェンジでどうなる?
2020年9月10日に日産は、マイナーチェンジするエルグランドの特設Webサイトをオープンし、一部情報を公開。サイト上では、「ハイウェイスター」と「ハイウェイスターアーバンクロム」の外観デザインをお披露目しています。
フロント部分は、2019年8月にマイナーチェンジをした同社ミニバン「セレナハイウェイスター」と同様の大型メッキグリルを採用したことで、これまでの水平基調とは違うデザインとなっているほか、新しいボディカラーも用意しています。
内装は、インパネとシートを一新し、ワイドな広がりを感じられるように水平基調に仕立てたブラックとブラック/ダークブラウンのふたつが設定されました。
また、ディーラーオプションでは10インチに拡大したナビゲーションを用意。地図画面の見やすさや、インテリジェントアラウンドビューモニターの映像も大きく映し出すので、より安心して駐車をすることができるようになります。
安全面では、全方位360度に張り巡らされた先進安全装備を設定。従来モデルよりもさらに安心感を付与します。
直近の販売動向について、日産販売店の担当者は、「すでに特設サイトでは、来店予約がスタートしていますが、現在までにいくつかの予約を頂いております」と説明しています。
マイナーチェンジでどこまで販売台数に影響が出る? (上マイナーチェンジ後:下マイナーチェンジ前)
また、オデッセイは2020年9月1日にティザーサイトを公開。今回のマイナーチェンジでは、外観デザインの変更が施されており、先行公開されたティザーイメージでは、現行では最上級グレードとなる「ハイブリッド アブソルート EX」をお披露目しています。
機能面では、パワースライドドアにあるセンサーが光っているときにジェスチャー操作をおこなうと、車両に触れずにドアの開閉が可能な「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」を国内モデルのホンダ車で初採用しました。
装備面では、メーター表示がこれまで1眼メーターでしたが、マイナーチェンジ後では見やすい大径2眼メーターに変更しているほか、大画面10インチナビをディーラーオプションで設定するなど、さまざまな部分が刷新されています。
最近のオデッセイについて、ホンダの販売店は「今回、マイナーチェンジのティザーサイトが公開されたことでいくつかのお問合せを頂いています。これによって、少しでも販売台数が伸びてくれればと思っています」と話しています。
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