トヨタ「ヤリスHV」は燃費最強! 高速道でリッター40km超えも!? 実燃費を徹底検証

くるまのニュース / 2020年11月28日 7時30分

国産車のなかで、もっとも低燃費とされるのがトヨタ「ヤリス」のハイブリッドモデルです。実際の燃費はどれくらいなのか、高速道路やワインディング、一般道を走って、燃費を測定してみました。

■普通に走っても超低燃費! ヤリス ハイブリッドの実燃費を試す!

 ここ1年ほどの間でデビューした新型車のなかで、燃費性能に関してもっとも注目すべき車種といえばトヨタ「ヤリス」でしょう。

 なぜなら、カタログに記載されている燃費の数値が驚くほど優れているからです。

 新型ヤリスのなかでもっとも燃費が良いグレードは「HYBRID X」で、そのWLTCモード燃費は36.0km/L。

 そう聞くと「プリウスは“39.0km/L”だし、アクアは“38.0km/L”だからそれには届いていない」と思う人もいるかもしれませんが、じつはそれらの数値は「JC08モード」という従来の燃費計測によるもの。

 最新の燃費計測方法であるWLTCモードの数値は、プリウスが32.1km/L、アクアが29.8km/Lであり、ヤリスの36.0km/Lのほうが優れた数字となっているのです(いずれも数字はもっとも燃費に優れたグレードのWLTCモード総合値)。

 今回、そんな新型ヤリスの燃費を計測してみました。グレードはもっとも燃費に優れる「HYBRID X」ではなく、車両重量増などの理由によってわずかに劣る「HYBRID G」。燃費数値は車載の燃費計によるものです(トータル燃費のみ計算値)。

 ルートは市街地、高速道路(平坦+登り)、峠道、高速道路(平坦)、そして帰宅ラッシュ時の市街地と5パターンにわけ、区間ごとに燃費を計測。

 燃費を計測した当日の天気は晴れのち曇り。気温は車両の温度計で17度から28度の間で、エアコンはオートで25℃に設定。

 走行モードは「帰宅ラッシュ時の市街地」を除いて「ノーマル」とし、高速道路はできるだけ制限速度に近づけ、一般道は周囲の流れに従って走るように心がけました。

 もちろん特別な燃費テクニックなども使っていませんが、ヤリスはどれほどの燃費を記録できるのでしょうか。

●一般道
走行距離:14.8km
実燃費:30.0km/L

 まずは市街地区間では、東京都世田谷区を東西に貫く世田谷通りを中心に14.8km走りました。

 外気温は25度から27度で、道路は片側1車線の一般的な道。昼過ぎの交通量の少ない時間帯だったので流れはスムーズでしたが、市街地だけあって信号によるストップ&ゴーはかなりの頻度でした。

 30.0km/Lという燃費は、カタログ記載の燃費値(WLTC市街地モード)が36.9km/Lというクルマのポテンシャルからすると少し伸び悩んだといえるかもしれません。

 しかし、普通に街中を走るだけで30.0km/Lという燃費を実現する性能は驚きです。

 印象的だったのは、エンジンを止めてモーターだけで走る範囲が広いこと。それだけ燃費の稼ぐことができます。また、モーター走行は停止からの加速がスムーズで快適でした。

●高速道路(往路)
走行距離:83.0km
実燃費:33.7km/L

 往路の高速道路セクションは、東名高速道路下り。同道路の起点である東京インターから入り、御殿場インターまでの83.0kmを、制限速度程にセットしたクルーズコントロールを使って巡行しました。

 しばらくは制限速度100km/hの平たんな区間が続き、出発時にリセットした燃費はグングン伸びて、平均燃費計の最高値は35.3km/Lをマーク。

 しかし途中からは山岳区間に入り、制限速度が80km/hと低くなります。

 そこは急こう配の上り坂となるため燃費も悪化しましたが、それでも33.7km/Lという優れた燃費です。カタログ記載値(WLTC高速道路モード)が33.5km/Lですから、しっかりと達成できました。

 もし急な上り坂が続く区間でなければ、さらに良好な燃費が実現できたことでしょう。

 いずれにしろ、30km/Lを超える燃費をコンスタントに出せるのですから、ヤリスのハイブリッドはとんでもなく優れた低燃費車であることは間違いありません。

 しかも、運転しづらさもなく快適に移動できるのですから、凄いことです。

■条件次第ではリッター50kmも狙える!?

●ワインディング路
走行距離:48.1km
実燃費:32.0km/L

 この区間のスタート地点とした東名高速道路の御殿場インターは標高454m。まずはそこから、ルートの最高標高地点となる標高1015mの箱根・大観山までの約35kmの峠道を登っていきます。

 峠道の区間でも、ヤリスは30km/Lを超える燃費を記録しました。

トヨタ「ヤリス ハイブリッド」トヨタ「ヤリス ハイブリッド」

 その最高地点に到達した際の燃費は24.1km/L。さすがにほとんどが上り坂だったので30km/Lを割ってしまいましたが、とはいえ一般的な感覚では十分に良好な燃費。それを峠の登り道で実現するのですから驚かずにはいられません。

 頂上からの残り約13kmは、箱根ターンパイクという道をひたすら下ります。下り坂が続くので、エンジンの負担が少なく燃費数値はどんどん上昇。

 最終的な峠道区間の燃費は32.0km/Lとなりました。

●高速道路(復路)
走行距離:61.1km
実燃費:41.3km/L

 帰路となる高速道路区間は、小田原西インターから小田原厚木道路を39kmほど走り、厚木からは東名高速道路へ合流。川崎インターまでの合計61.1kmを走りました。

 その区間の平均燃費は、驚きの41.3km/L。これはカタログ記載値をも超える、信じられない数値です。

 往路の高速道路区間は33.7km/Lでしたが、復路はそれを上回る値をマーク。往復で数値が異なる理由はふたつあります。

 ひとつは高低差。往路は後半が勾配の強い上り坂だったのに対し、復路は全区間がほぼフラット。これは燃費にとって有利に働きます。

 もうひとつは制限速度です。復路の前半区間として走った小田原厚木道路は自動車専用道路で制限速度が70km/L。その速度制限を守って走ったことが好記録に繋がったと考えられます。

 走行速度が高くなると空気抵抗が増え、燃費悪化の大きな原因となります。

 小田原厚木道路では低い速度での巡行をおこなったことで、燃費を伸ばせたといえます。

 小田原厚木道路を走り終えたときの平均燃費はなんと、常識を超えたレベルとしかいいようがない50.6km/Lでした。

 100kmを走行するのにガソリンを2リットルしか消費しないということになります。ちなみに後半の東名高速道路の制限速度は100km/hです。

 往路の高速道路区間では、もうひとつ興味深い現象がみられました。それは渋滞時の燃費の推移です。

 今回、東名高速道路は綾瀬バス停を先頭とする渋滞が発生していて、それに巻き込まれてしまいました。

 その影響で燃費が悪化するかと思いきや、渋滞の始まりでは46.2km/Lだった燃費が渋滞を抜ける頃には49.4km/Lまで回復。

 車速が下がり、エンジンを止めてモーターで走行する領域が増えたことがその理由と考えられます(下限約30km/hとなるクルーズコントロールの作動範囲から外れることはほぼありませんでした)。

●市街地(復路)
走行距離:9.7km
実燃費:40.5km/L

 最後は、東名川崎インターから10キロ弱の市街地を走ります。往路とは異なる道ですが、さらに違いは交通状況。帰宅ラッシュの時間で走るよりも信号待ちに多くの時間を割くような大混雑です。

 また、この区間のみ、あえて条件を悪くしようと走行モードは燃費に不利な「パワーモード」を試してみました。

 しかし結論をいえば、燃費は40.5km/Lと順調に流れた市街地よりも優れた記録でした。これは渋滞により平均速度が低下し、モーター走行範囲がさらに増えたからと考えられます。

※ ※ ※

 カタログ(ヤリス HYBRID G)を見ても、走行状況別のデータでは、高速道路モード計測のWLTCモード燃費が33.5km/Lなのに対し、市街地モードは36.9km/L、郊外モードは39.8km/Lと記載されており、高速道路よりも市街地モードや郊外モードのほうが低燃費とされています。

 実装後でも、状況によっては市街地で優れた燃費を実現するなど、ハイブリッドの登場により「市街地より高速道路走行時のほうが燃費がいい」という常識が必ずしも通じなくなっていることを実感しました。

 今回、216.7km走って計測したトータル燃費は約35km/Lと、カタログ燃費を超えることはできませんでしたが、東京から静岡よりも長い距離を走っても、消費したガソリンは約6.2リットルなのですからとんでもなく燃料消費の少ないクルマです。

 もしかすると、エンジンを積んだ量産市販車(プラグインハイブリッドカーを除く)のなかで、ヤリスはもっとも燃料消費の少ないクルマなのかもしれません。

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