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フェラーリだけじゃない! ケーニッヒが手がけたBMW「6シリーズ」とは?

くるまのニュース / 2021年3月7日 19時10分

バブル期の日本では、フェラーリとメルセデス・ベンツのド派手なカスタムで注目を集めていたケーニッヒ・スペシャル。このケーニッヒ・スペシャルが手がけた世界一美しいクーペと呼ばれたBMW「6シリーズ」が存在していた。

■狂気のチューナー、ケーニッヒ・スペシャル

 日本でスーパーカーブームが湧き上がった1970年代、フェラーリやポルシェ、ランボルギーニといったメーカーに注目が集まっていた。

 ケーニッヒ・スペシャルは、そんなエキゾチックカーをメインにチューニングをおこなうことを目的に、1974年ドイツで創業されたチューナーである。

●1986 BMW「635CSi ケーニッヒ・クーペ」

 創業者のウィリー・ケーニッヒは、1961年にレーシングドライバーとしての活動を開始し、BMW「M1」やポルシェ「962C1」などでル・マンのチャンピオンとなり、30年以上にわたってレース活動を続けていた。

 そこで得た経験や知識を活かしたコンプリートカー開発は、たんなるエンジンパフォーマンスの向上だけではなく、エアロダイナミクスという面も融合させたものとなっていたのが特徴だ。

 ケーニッヒのクルマがもつ独特のデザインは、エアロダイナミクスの追求から生まれたものなのである。

 日本でケーニッヒが注目されるようになったのは、1990年代に入ってからだ。ヨーロッパではフェラーリやランボルギーニのチューナーとして知られるケーニッヒだが、日本ではメルセデス・ベンツC126型「500SEC」や、W210型「Eクラス」をベースとしたモデルが、その独特のスタイルから知られるようになっていった。

 あまりにも人気が高くなったケーニッヒであるため、一時はそのデザインをコピーしたボディキットも販売されていたほどだ。

 当然そのようなコピー商品は、たんに意匠を真似ただけのもので、クオリティも低く、それが本家であるケーニッヒの評価を不当におとしめたのは間違いない。

 さらにいえば、当時はチューニング、とくに車高に関しての制限が厳しかったこともあり、正式に輸入審査を受けたコンプリートカーはともかく、市販車をベースに、パーツを輸入してセットし、本家のコンプリートカーと同様のクルマを作るということが難しく、ノーマルとスタイルが違うというだけで違法改造車扱いをされるケースが多かった。

 これは他のチューナーブランドも同じで、こうしたクルマを運転していると、違反をしていないのにクルマを止めさせられ、職務質問を受けるということも散見された。

 ケーニッヒはその独特の、いってしまえば派手なデザインから、目をつけられやすかった、ということもある。同時にそのデザインが、クルマ好きの間では人気だったことも事実だ。

 しかし、ケーニッヒの派手なスタイルは、本来レース由来のものであり、コンプリートカーは高い走行性能を実現していたというのも事実である。

■ド派手なボディワークがケーニッヒの真骨頂

 今回ボナムスオークションに登場したのは、そんなケーニッヒが手掛けたBMW「635CSi」である。ネーミングは、BMW「635CSiケーニッヒ・クーペ」となる。

●1986 BMW「635CSi ケーニッヒ・クーペ」

サイドからリアまわりへのデザインは、確かにその他のケーニッヒが手がけた車両との共通点を見いだすことができる(C)Bonhams 2001-2021サイドからリアまわりへのデザインは、確かにその他のケーニッヒが手がけた車両との共通点を見いだすことができる(C)Bonhams 2001-2021

 635CSiは当時、世界一美しいクーペと呼ばれていた。それをベースに、ケーニッヒはボディキットによって、シャープなウェッジラインを描いている。

 ワイド化されたフェンダーとボディパネル、そしてリアウイングは統一感をもってデザインされ、リアバンパーは大胆に跳ね上げられたことで、センターマフラーは丸見え状態となっている。

 これは、ボディサイドの空気をダウンフォースに活かしたいということと、フロア下を流れる空気を極力早く後方へと出すことで、フロアでのダウンフォース獲得を狙ったものだろう。

 もちろん、現代のクルマと比べると粗削りなデザインだが、当時の流体の解析はまだまだアナログだったことを思い浮かべてもらえれば、分かりやすいカタチ、といっていいだろう。

 そんな635CSiケーニッヒ・クーペが何台製作されたのかは、ケーニッヒに記録が残っていないために不明だ。ただ、イギリスには2台のみであったと伝えられているようだ。つまりこれは、その2台中の1台というわけだ。

 このオークションに登場する以前は、長年にわたって博物館で展示されていたとのことだが、博物館側の問題、おそらくは財政面の問題で高等裁判所から販売命令が出され、オークション販売されることとなった。そのため、公道を走るためには再整備が必要だが、再登録するための書類は付属している。

 クルマの機能的な状態は不明であるにもかかわらず、予想落札価格は1万5000−2万ポンド(邦貨換算約220万−300万円)と、写真で見る限りあまりコンディションが良くないことを考慮すると、いささか高価とも思える価格だ。

 これはクルマというものに文化的な価値を見いだす、文化的側面が英国にはあるからだろう。昨今、E30型「M3」と同じ時代のE24型「6シリーズ」の価格も上昇気味である。果たして、ケーニッヒが手がけたとされるレアな6シリーズにはどのようなジャッジが下されるのか楽しみである。

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