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ストイックにダイエットしたモデルもある? 非スポーツカーでも軽量な車5選

くるまのニュース / 2021年7月10日 6時10分

クルマの運動性能を高める手法のひとつが軽量化です。車重は「走る・曲がる・止まる」すべてに影響を与えるため、生粋のスポーツカーでは軽量化が重要となります。一方で、スポーツカーでなくても軽量なモデルも存在。そこで、非スポーツカーながら軽い車重に定評があったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

■燃費命のモデルや、必然的に軽くなったクルマとは?

 クルマの性能を語るうえで重要な要素のひとつが車重です。近年は衝突安全性の向上や安全装備、快適装備の充実が当たり前なので車重が増える傾向にありますが、それでも各メーカーとも軽量化に対しての努力は続いているといえるでしょう。

 車重はクルマの「走る・曲がる・止まる」すべての性能に影響があります。そのため、運動性能を高めた生粋のスポーツカーでは、高価な材料を使ったり余計な装備を省くなど、軽量化のためには惜しみません。

 さらにクルマを軽くすることは燃費性能の向上にも大きく関わるため、いわゆるエコカーと呼ばれるクルマのなかには、スポーツカー並に軽量化にこだわったモデルもあります。

 そこで、非スポーツカーながら軽い車重に定評があった平成に誕生したクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「アルト エコ」

もともと軽量なモデルなのに、さらに軽量化にまい進した「アルト エコ」もともと軽量なモデルなのに、さらに軽量化にまい進した「アルト エコ」

 1979年に誕生したスズキ初代「アルト」は、47万円という衝撃的な低価格によって大ヒットを記録。後の軽ボンネットバンブームの火付け役となりました。

 その後、アルトはスズキの主力モデルとして代を重ね、現行モデルの8代目は、普段使いからビジネスユースまで幅広く使われるベーシックカーとして販売されています。

 この歴代アルトのなかでも低燃費を追求するためストイックなまでに軽量化をおこなったモデルが、2011年に登場した「アルト エコ」です。

 アルト エコは7代目アルトをベースに、最大のライバルであるダイハツ「ミライース」に対抗するべく開発されました。

 エンジンルームまわりの骨格をはじめエンジン本体や足まわり、内装に至るまで、さまざまな部品の見直しによってベースモデルから20kgもの軽量化を実現しました。

 また、停車直前にエンジンをストップさせる新たなアイドリングストップシステムを搭載し、エンジン本体では摩擦損失を徹底的に低減。

 ほかにも車高を15mm下げつつバンパー形状の変更で空気抵抗を低減。さらに低転がり抵抗タイヤの採用とブレーキの引きずり抵抗の低減などによって、JC08モード燃費30.2km/Lというクラストップの低燃費を達成しました。

 それだけにとどまらず、2013年の改良ではさらに20kgも軽量化して車重が710kgとなり、減速エネルギーから発電して電装品を駆動するシステム「エネチャージ」の採用などから燃費は33.0km/Lまで向上。モデルライフ末期の2014年には35km/Lを実現しました。

 なお、アルト エコの燃料タンク容量は、ベース車が30リッターだったのに対し20リッターとオートバイ並に少なくなっており、まさにストイックに軽量化を追求していたということでしょう。

●ホンダ「インサイト」

まさに赤字覚悟だったと思えるほど軽量化命だった初代「インサイト」まさに赤字覚悟だったと思えるほど軽量化命だった初代「インサイト」

 1997年、トヨタは世界初の量産ハイブリッド車、初代「プリウス」を発売。28.0km/L(10・15モード)という、同クラスのおよそ半分の燃料消費量となる驚異的な低燃費を実現しました。

 この初代プリウスに対抗するために1999年に誕生したのが、ホンダ初のハイブリッド車、初代「インサイト」です。

 外観はスポーツカーのような流麗なウェッジシェイプを採用し、リアタイヤまわりをスパッツで覆うなど、徹底的な空気抵抗削減をおこなっています。

 そして、軽量化についてはもはやスポーツカーを凌駕するほどでした。

 まず、シャシは「NSX」で培った技術を使いアルミ製モノコックを採用。ボディ外板にもアルミ製とプラスチック製パネルを導入し、さらに室内はリアシートを排除して2シーター化をおこない、バッテリーとモーターを搭載しながらも車重は820kg(MT車)まで軽量化されました。

 これら軽量化と空力性能の向上に加え、1リッター直列3気筒エンジンにアシスト用モーターを組み合わせた新開発のハイブリッドパワーユニットによって、量産車で世界最高となる35km/L(10・15モード)を達成し、初代プリウスを上まわることに成功。

 その後もインサイトとプリウスは燃費競争を繰り広げましたが、最終的には2代目プリウスに引き離されたかたちで、インサイトは2006年に生産を終了しました。

 軽量化のために高価な素材を惜しみなく使うなど、初代インサイトはまさにホンダの威信をかけたクルマでした。

●フォルクスワーゲン「ルポ 3L TDI」

レーシングカーと同等の手法で軽量化された「ルポ 3L TDI」レーシングカーと同等の手法で軽量化された「ルポ 3L TDI」

 フォルクスワーゲンの現行車で、もっともコンパクトなモデルといえば「up!」ですが、このup!の前身が1998年に誕生した「ルポ」です。

 同社のコンパクトカー「ポロ」よりもさらに小さく、ボディサイズは全長3530mm×全幅1640mm×全高1480mmと軽自動車をひとまわり大きくしたくらいの3ドアハッチバックで、日本では2001年から発売されました。

 当初、日本仕様は1.4リッター直列4気筒ガソリンエンジン車のみでしたが、欧州では最高出力61馬力の1.2リッター直列3気筒ターボディーゼルエンジンを搭載した「ルポ3L TDI」をラインナップ。

 100kmの距離を3リッターの燃料で走ることが可能となった世界初のモデルから車名に「3L」が使われ、燃費は33.3km/L以上を実現していたことになります。

 低燃費化の手法はエンジンの熱効率向上にとどまらず、標準モデルよりシャシやボディの鋼板と各ガラスを薄くし、ボンネットやドアだけでなくシートフレームまでアルミ製に変更。

 さらにリアゲートの一部とステアリングのフレームにマグネシウム合金が使われ、パワーステアリングにパワーウインドウ、エアコンもオプションとした結果、車重は830kgを達成。

 トランスミッションはシングルクラッチの5速AMTのみとされ、走行モードの「ECO」を選択すると、アイドリングストップや、走行中には積極的に高いギアを選択するなどのプログラムが実装されていました。

 ほかにもフロントグリルやバンパーも専用形状のものが採用されて空気抵抗を低減し、専用の軽量アルミホイールと低転がり抵抗タイヤを装着しています。

 ルポ 3L TDIは実験的なモデルでしたが、そのつくりは、まさにレーシングカー並といえるでしょう。

■特にがんばったわけではないけど軽いクルマとは?

●三菱「ピスタチオ」

実験的なモデルでいまでは激レアなクルマ「ピスタチオ」実験的なモデルでいまでは激レアなクルマ「ピスタチオ」

 三菱は1996年に発売した8代目「ギャラン」とステーションワゴンの「レグナム」に、量産世界初となるガソリン直噴エンジンを搭載しました。

 ガソリン直噴エンジンは燃料をシリンダー内に直接噴射して燃焼させる仕組みで、いまでは広く普及していますが、当時は均一な燃焼コントロールが難しく実現は困難とされていました。

 その後、三菱はギャラン/レグナムに続いて次々と直噴エンジン搭載車を拡充します。

 なかでも希代の珍車といわれるのが、1999年に発売された三菱「ピスタチオ」で、当時世界最小の1.1リッター直噴エンジンが搭載されました。

 ボディは同社の軽自動車「ミニカ」をベースとした4人乗りの3ドアハッチバックで、専用のバンパーによって全長は3440mmに伸ばされましたが、全幅は1475mmと軽自動車規格のままです。

 また、装備はエアコン、パワーステアリング、パワーウインドウ、運転席エアバッグなどは搭載されるも簡素で、車重はわずか700kgを実現しました。

 トランスミッションは5速MTのみでアイドリングストップを採用し、30km/L(10・15モード)と、純粋なガソリンエンジン車で当時世界一の低燃費を達成。

 しかし、ピスタチオはわずか50台のみの限定販売で一般ユーザーには販売されず、環境保全に取り組んでいる自治体や、公益企業などの法人のみに販売されました。

 今では現存数も不明ですが、まず路上で見ることは無いほどの激レアモデルです。

●トヨタ「プラッツ」

実は意外なスポーティセダンだったといえる「プラッツ」(画像は豪州仕様)実は意外なスポーティセダンだったといえる「プラッツ」(画像は豪州仕様)

 トヨタは1999年に、新世代のコンパクトカーとして初代「ヴィッツ」を発売しました。それから7か月遅れて、ヴィッツのプラットフォームと主要なコンポーネンツを利用した「ファンカーゴ」と「プラッツ」が誕生。

 ファンカーゴはトールワゴンで、プラッツはヴィッツの後部を独立したトランクとした4ドアセダンです。

 このプラッツはヴィッツに対して全長を535mm延長し、フロントとリア周りを専用のデザインとしていますが、ホイールベースや全幅、全高のサイズはヴィッツと変わりません。

 また、エンジンは1リッターと1.3リッター(4WD)、さらにヴィッツに先行して1.5リッターが設定されました。

 プラッツは性能的に特筆すべきところはなく、あくまでも使い勝手の良いベーシックセダンというポジションでしたが、全グレードとも1トン未満の車重を達成。

 最軽量は1リッターMT車の850kgですが、これはベースのヴィッツが820kg(5ドア)と軽量なことに由来しているので、それほど驚くべき数値ではありません。

 一方、1.5リッターMT車は900kgで、これは後に登場した1.5リッターエンジン搭載のヴィッツのスポーティグレード「RS」(5ドア)より50kgも軽量です。

 ヴィッツRSとプラッツの1.5リッター車はどちらも110馬力とエンジンスペックは同一でしたから、プラッツは隠れたスポーツセダンといえるのではないでしょうか。

※ ※ ※

 冒頭に紹介したアルト エコはそもそも軽量な軽自動車ですから、まさに「乾いた雑巾を絞る」ように軽量化をおこなったといえるでしょう。

 しかし、現行モデルのアルトはさらに軽量で、最軽量車はわずか610kgです。

 これは20年前のアルトと同等の車重で、現行アルトはひととおりの快適装備と安全装備を搭載していることを考えると、いかにスズキの軽量化技術が優れているかがうかがえます。

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