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世界初公開されたレクサス新型SUV「NX」公道初走行! ターボ車からPHEVまで「クルマのデパート状態!」 気になる部分はナニ?

くるまのニュース / 2021年12月8日 19時10分

レクサスは、新型「NX」の日本仕様を2021年10月7日に発表しています。今回、世界に先駆けて量産モデルを公道で初走行させました。どのような進化を遂げているのでしょうか。

■2021年6月に世界初公開された新型「NX」次世代モデル第一弾は何が変わった?

 レクサスは、2021年6月12日に新型「NX」を世界初公開。日本仕様は10月7日に発表されています。
 
 今回、世界に先駆けて量産モデルを公道で初走行させました。果たして、ガソリン車(自然吸気)、ターボ車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車といった異なるパワートレインにはどのような違いがあるのでしょうか。

 筆者(山本シンヤ)はレクサスのブランド変革「レクサスエレクトリファイド」を体現した第一弾のモデルとなるNXに試乗してきました。

 2021年6月の世界初公開から約半年、開発者にその想いを聞いてきた筆者の期待値はどんどん上がっていきました。

 確かにメカニズムはほぼ全面刷新で、随所に「強い武器」が与えられましたが、その一方で「強い武器を全て使いこなせるのか?」という心配があったのも事実です。

 そのため、今回は期待半分、不安半分で試乗会へと向かいました。

 公道試乗会のステージは長野県の蓼科付近の一般道。起伏があり大小のコーナーが連続するうえに道は所々荒れているなど、路面環境的には厳しいコースです。

 そんなコースをあえて選んだのは、NX開発陣の自信の表れです。それなら受けて立ちましょう。

 まずはシリーズの頂点となるレクサス初のPHEV「NX450h」で、コンベンショナルなサスペンションを採用するノーマル(バージョンL)から試乗をスタートします。

 パワートレインのハードは先に登場した「RAV4 PHV」と共通ですが、エンジンはハイオク仕様、リアモーター(E-Four)をより積極的に使う設定とより走りに振ったセットになっています。バッテリーは18.1kWhで航続距離は88km(WLTCモード)です。

 まずはEVモードで走ります。一般的には電動車といっても色々な音がしますが、NXはシステムからのノイズはもちろんロードノイズも見事にシャットダウンされており、本当に音もなくスーッと走り始めます。

 この辺りはレクサスのDNAのひとつ「静粛性」が活きています。動力性能も2トン近い重量を軽々と走らせる力強さや瞬発力を備えられ、普通に走らせるならこれで十分でしょう。

 ただ、このシステムの本当の凄さはHVモードです。モーターに加えてエンジン出力のプラスでシステム出力は309馬力。

 試しに高速道路の合流でアクセル全開を試してみるとスポーツカー顔負けの加速力で「おーっ、速い!!」と声が出てしまうほど。

 これは単なるPHEVの革を被った「次世代パフォーマンスユニット」と呼んでもいいと思っています。

 ちなみにエンジンノイズは車速の上昇に合わせてエンジン回転が上がる設定なので、それほどノイジーには感じませんでしたが、チャージモード時はちょっと気になるレベルです。

 さらに驚いたのはフットワークです。走り初めて即座に感じたのは、「本質で勝負」という所です。

 それはサス取り付け部やサブフレームなどの局部剛性や剛性バランス/連続性にも考慮した構造を持った「車体」、デュアルピニオン式を採用する「ステア系」、応答性が高い「ハンドリング」など基本性能を徹底して磨い抜いたうえで、レクサス独自の「スッキリと奥深い」走りがプラスされています。

 その結果、ステアリング切り出しのスッキリ感、リニアな応答性、サスペンションのスムーズな動きなどは、ライバルとなる欧州プレミアムブランドと比べてもそん色ないレベルに来ています。

 加えて、その高性能を気負いなく誰でも実感出来るという意味では、逆に彼らを超えている部分もあると思っています。

 乗り心地はバッテリー搭載による低重心化と前後重量配分適正化がいい方向に働いており、バネ上の振動の収まりの良さや重量を活かしたシットリとした乗り味なども相まって、上級のRXを超える凹凸を超える際のアタリの優しさとフラット感を実感しましたが、これもレクサス最良の快適性です。

 ひとつ気になったのはシートで、掛け心地は良好ですがサポート性が今ひとつ。

 ワインディングだけでなく一般道のコーナリング時も体が支え辛いのが少々気になりました。

■新型NX、PHEVのFスポーツはどんな乗り味になった?

 続いてFスポーツです。こちらはリニアソレノイド式のAVS(電子制御ダンパー)と前後にパフォーマンスダンパー採用されています。

 ドライブモード「ノーマル」はバージョンLに近いですが、Fスポーツのほうが若干硬質な印象です。

 例えるならば少し分かりづらいですが「動くけど抑える」バージョンLに対して「抑えているようで動く」Fスポーツといった感じです。

 逆に「スポーツ+」は明確な違いがありステア系はダイレクト感重視、サスペンションは姿勢変化を抑え引き締まる方向でハンドリングの特性はシャープに変化。

 ただ、乗り心地の悪化は最小限で、人によってはショックの収まりの良さからこちらのほうが快適に感じる人もいるかもしれません。

 さらに Fスポーツ専用シートはノーマルシートよりもやや硬めの掛け心地ですが、フィット感が高く体がブレないのと振動収束性の高さなどから、むしろノーマルよりも快適に感じました。

異なるパワートレインの個性はどのように違うのか? 魅力あふれる新型「NX」異なるパワートレインの個性はどのように違うのか? 魅力あふれる新型「NX」

 続いて、NXでもっとも販売ボリュームの高いハイブリッドの「NX350h」に乗り換えます。今回の試乗車はFFがバージョンL、4WD(E-Four)がFスポーツとなります。

 まずはFFから試乗です。パワートレインは2.5リッター+モーターとRAV4/ハリアーと同じユニットだと思われがちですが、エンジンはハイオク仕様で178馬力から190馬力、モーターはサイズアップ(RXサイズを動かすパフォーマンスを備える)で120馬力→182馬力と高出力化。

 実用域の力強さはもちろん、アクセル操作に対する反応、出力の出し方やエンジン/モーターとの連携、全開走行しない限りは気にならないフィーリングなどを実感しますが、残念ながら多くの人が使う2000回転から3000回転くらいの回転域が騒々しいなのが気になりました。

 恐らく、音量自体はそれほどではありませんが、静粛性のレベルアップ(とくにロードノイズ)で相対的に目立ってしまっていること、高効率エンジン特有の濁音の多い音質が原因でしょう。

 ちなみに逆位相の音でノイズを打ち消すアクティブノイズコントロールはNX350のみ設定されていますが、むしろハイブリッドのNX350hのほうが必要でしょう。

 ただ、その後4WDに乗り換えると、同じ道で同じ回転で走らせてみても騒々しく感じません(音量も音質も確実に低い方向)。

 これは単なる個体差なのか、それともFスポーツのみに装着されるパフォーマンスダンパーがエンジンサウンドを減衰したのか、と考えられます。

 ハンドリングの基本的な印象はNX450hと共通ですが、300kg近く軽量のため軽快でキビキビした動きになっていますが、リア周りが軽くなったためか4輪がドシッと接地している感覚は薄めに。

 ちなみに4WDの乗り味はRX450hにかなり近い印象だったので、そこから推測すると新型NXの本命は4WDじゃないかと思っています。

 乗り心地に関しては、NX350hのバージョンLかFスポーツの比較では、前後バランスの良さとAVSのメリットが活きたFスポーツのほうが快適に感じました。

■目玉グレードのひとつである2.4リッターターボはどんな感じ?

 次はPHEVと並びNXの目玉グレードのひとつである2.4リッターターボ搭載の「NX350」です。

 このエンジンはFスポーツのみ、4WDのみの設定から解るようにNXの走りのフラッグシップといっていいモデルとなります。

 この2.4リッターターボは新開発されたユニットで、279馬力/430Nmのパフォーマンスで8速ATとの組み合わせ。

 4WDシステムはGRヤリスの電子制御油圧多板クラッチをベースにNX用に最適化。前後トルク配分を75:25から50:50まで適切に制御しています。

 エンジンはターボラグがほとんどなくどの回転域からでも素早く反応するレスポンスが印象的です。

 いわゆるターボらしい爆発的なパワーではなく、フラットなトルクと伸び感のあるフィーリングが特長ですが、個人的には3.5リッターV型6気筒エンジンのダウンサイジングエンジンというならば、もう少し力強さを実感しやすい特性でもよかったかなと思います。

 サウンドは言葉で説明するのは難しいのですが、低めで濁音の多い音質と独特なものです。賛否は出ると思いますが、筆者はほかのエンジンにはない個性という意味ではアリだと思いました。

走りの味は、パワートレイン、駆動方式で全然違う!走りの味は、パワートレイン、駆動方式で全然違う!

 8速ATは小気味よいシフトアップ/ダウンとドライバーの意識に合わせたシフトスケジュールを採用。

 Dレンジでもパドルを使わずにブリッピングしながらシフトダウンをおこないますが、すべてのコーナーで完璧とはいわないもののドライバーの意志に近い制御に近づいています。

 実は減速Gの考え方もレクサスの乗り味の統一の項目で、電動パワートレイン用の電気CVTにも似た制御(下り坂で回転を上げる)が入っています。

 フットワークは、RX450hのドシッとした4つのタイヤの接地感の高さとRX350h(FF)の軽快でキビキビ感、そして4WDの積極的な駆動力制御がバランス良く融合したイメージです。

 その走りは「クルマの無駄な動きは抑えるが、足はシッカリ動かす」という考え方で、ワインディングではSUVに乗っていることを忘れるほどスポーティ。

 個人的には「スッキリした操舵フィールを手に入れた目線の高いIS」といってもいいレベルだと思っています。

 面白いのはAWDの制御で、コーナー進入時は「AWDを感じさせない」素直なノーズの入り、コーナー脱出時は「AWDならでは」の後輪の蹴り出しを実感できることで、これこそがレクサスの「スッキリと奥深く」を実現させるAWD制御だといえます。

 この開発は最後の最後まで「スッキリ? スッキリしてない?」と喧々諤々だった聞きますが、ここまで積極的なレクサスのAWDは初です。

 乗り心地はドライブモード「スポーツ+」だと路面の凹凸を若干拾いますが、スポーツカーを知る人ならば心地よいコツコツ感で気にならず。

 逆に「ノーマル」だとスポーツ系モデルとしてはすこぶる快適性は高く、後席からも苦情はこないと思います。

※ ※ ※

 そして最後は、NXの入門編「NX250」です。こちらはFF/4WDは選択可能ですがノーマルのみの設定でFスポーツはありません。

 2.5リッター自然吸気エンジンは201馬力/241Nmのパフォーマンスで8速ATとの組み合わせ。

 FFはNX最軽量となる1.6トン+αの車両重量となるためスペック以上に活発に走ります。

 フットワークもRX350以上に軽快はハンドリングと快適性のバランスも良く、パワフルさを求めない人であれば満足度は高いでしょう。

 一方、AWDはFF+60kgの車両重量となるため、必要十分な性能は備えているもののNXのキャラクターを考えると余裕が足りない印象。

 8速ATがカバーしていますが、少々シフトビジーな感じがちょっと安っぽく感じてしまいます。

 ただ、そこを理解できれば選択肢としてアリです。そのため筆者はほかのパワートレインはすべてAWD推しですが、NX250のみFF推しとなります。

■新型NXは「走り」寄り? インテリアの細部はもう少し頑張って欲しい部分も

 これまでレクサスは「高級なトヨタ車」、「偽プレミアムブランド」などと揶揄されていた時期もありましたが、新型NXは正真正銘「日本を代表するプレミアムブランド」に相応しいモデルに仕上がっています。

 さらに嬉しいのは、パワートレインや駆動方式で若干の違いはあるものの、どのモデルも共通の乗り味をシッカリと備えていたことです。

 つまり、新型NXはどれを選んでもハズレはなく、各ユーザーの用途や使用環境、予算で選べばOKということだといえます。

 ただ、いくつか気になることもあります。ひとつはNX全体が走りの性能、つまりFスポーツ側に寄っていることです。

 NXは「走り」に注力したコンセプトなのは解りますが、ふたつの仕様を用意するならノーマルはもう少し穏やか方向でもいいような気がします。

 もうひとつは内外装の部分です。走りに一生懸命なのはよく解りますが、その一方で「レクサス」、「プレミアムブランド」であることを忘れてしまっている部分も見受けられます。

 せっかくデザインを一新した内外装ですが、インパネのソフトパッド/ハードパッドの質感の落差、取って付けたかのようなシートメモリースイッチ(おまけに先代流用)の位置、グローブボックスのガタ、スイッチ類/グリップ類の触感や作動スピード。

 カップホルダーの位置関係(せっかくリモートタッチがなくなったのに前後レイアウトのまま)、初代のアイデンティティのひとつだったLFAと同じボルト(ディーラーOPで用意)、シーケンシャルウインカーの廃止などなど、ディテールにももう少しこだわりが欲しかったです。

新型NXのインテリアは先進感はあるものの、初代にあったプレミアム感や上質さは薄れた印象を受ける新型NXのインテリアは先進感はあるものの、初代にあったプレミアム感や上質さは薄れた印象を受ける

 もちろん「選択と集中」が必要なのことは重々理解していますが、その一方で「神は細部に宿る」という言葉もあります。

 レクサスは「Always On」の精神で進化をおこなっていますが、個人的には走り以外の部分のブラッシュアップにも期待したいところです。

 少々厳しいこともいいましたが、総じていうとNXの進化は大きな一歩だと思っています。

 これまでレクサスの変革は上級モデルから進められてきましたが、今回はNXなど身近なモデルからのスタートです。

 これにも大きな意味があり、予算的に制約のあるモデルがここまで進化ということは、上級モデルはそれ以上が求められるので「中途半端なモデルは出せない」とほかの開発チームに対してもいい刺激が生まれます。

 ISの大幅改良で採用されたハブボルトにより開発における「天使のサイクル」が回り始めたといわれていますが、新型NXはそのクルマ版といってもいいでしょう。

 今後、LX、RZ(BEV)、RX(筆者の予想)とレクサスのニューモデルの攻勢は続くと思いますが、どれもNXを超えることは必然であり、それが結果としてレクサスブランドの底上げに必ず繋がると信じています。

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