「標識見えないのに…」の主張は通る? 枝葉で隠れた道路標識の場所で違反!? 取締り受けたらどうすればいいのか
くるまのニュース / 2023年4月16日 9時10分
街路樹の枝などで交通標識が見えづらくならないよう、道路管理者は適宜これを剪定(せんてい)するなどして管理しています。もしも、見えづらくなっている標識を見落とし、違反を取り締まられてしまった場合、考慮されることはあるのでしょうか。
■見えにくい道路標識は有効なのか?
通常、道路標識はクルマから見えやすい場所に設置されていることがほとんどですが、中には木や枝葉で隠れて見えにくくなっているケースもあるでしょう。
では、そのような道路標識がある場所で警察に捕まった場合、「標識が見えなかった」という主張で逃れることは可能なのでしょうか。
クルマを運転していると、一時停止や車両進入禁止など、さまざまな道路標識を見かけます。
多くの場合、道路標識はドライバーから見えやすいように設置されていますが、たまに木や枝が生い茂っていて見えにくくなっているケースがあります。
道路標識が確認できずに交通違反をして警察に捕まった場合、「標識が見えなかったので違反は無効」という主張は通るのでしょうか。
結論から言うと、客観的に見て道路標識が見えにくい状態であれば交通違反が成立しない可能性があり、そのときの道路標識の状況によって主張が認められるかどうかが変わるといえるでしょう。
そもそも道路標識には大きく分けて「案内標識」、「警戒標識」、「規制標識」、「指示標識」の4種類があります。
案内標識は目的地の方向や距離などを示し、警戒標識は「落石のおそれあり」、「動物が飛び出すおそれあり」などドライバーに注意深い運転をうながすためのものです。
また規制標識は「一時停止」や「車両通行止め」など道路上での禁止や規制、制限を知らせ、指示標識は「横断歩道」や「自転車横断帯」など通行する上で守る必要のある事項を知らせる標識です。
案内標識と警戒標識は国土交通省や都道府県などの道路管理者が設置している一方、規制標識や指示標識は主に都道府県公安委員会が設置しています。
特に警察では規制標識や指示標識をもとに交通取り締まりをおこないますが、その際は道路標識が有効なものでなければ取り締まりも有効とは言えません。
たとえば公安委員会の決定を受けずに設置した規制標識は無効であり、過去には滋賀県警において無効の一時停止標識をもとに取り締まりをしていたとして、取り締まりをした人に対して反則金の返還や違反点数の取り消しをおこなった事例があります。
さらに公安委員会の交通規制について規定した道路交通法施行令第1条の2第1項では次のように定めています。
「都道府県公安委員会が信号機又は道路標識若しくは道路標示を設置し、及び管理して交通の規制をするときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように、かつ、道路又は交通の状況に応じ必要と認める数のものを設置し、及び管理してしなければならない。(文章を一部抜粋)」
そのため、道路標識をドライバーや歩行者などから見えやすいように設置することが決められています。
■標識が見えない状況で取り締まりを受けたらどうすればいいのか?
この「見えやすいように設置する」ことに関し、過去の判例では「道路標識は、ただ見えさえすればよいというものではなく、歩行者、車両等の運転者が、いかなる車両のいかなる通行を規制するのかが容易に判別できる方法で設置すべきものであることはいうまでもない。」とした上で、道路標識が見えやすく設置されていない場合には通行規制が適法かつ有効とはいえず、交通違反が成立しないと判断しています。
つまり木が生い茂って道路標識をすべて覆っている、クルマのドライバーから非常に見えにくい位置に道路標識が設置されているなどの状況があれば、場合によっては交通違反に当たらない可能性があるのです。
こんだけ薄れていると標識として機能してない?
もしそのような状況で取り締まりを受けた場合には、警察官に対して道路標識が見えにくい状況であったことを伝え、警察官とともに道路標識の状況を確認しましょう。
また自分の主張が認められず、後日交通違反の事実について裁判などで争う可能性があれば道路標識の写真を撮影して記録化しておくことも重要です。
※※※
道路標識が木や枝で覆われている場合、有効な通行規制とはいえず、交通違反が成立しないと判断される可能性があります。
ただし道路標識が見えにくくなっていても、道路標識の近くには停止線や横断歩道・自転車横断帯などの道路標示があるため、交通事故防止の観点から道路標識だけでなく道路標示にも注意して運転することが大切といえるでしょう。
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